研究課題
本研究では、各種動物遺伝子病について、機能的および位置的解析法を用いて原因変異を解明し、遺伝子型検査法を開発して、集団内の遺伝子頻度を調査した。また、一部疾患の新規治療法に関する知見を得た。犬疾患では、トイプードルの家族性成犬発症型運動失調症において、次世代シーケンサーによる全ゲノム配列の解析を実施した。その結果、前年のゲノムワイド関連解析によって関連性が指摘されていた第3染色体の関連領域に、十数個の候補変異が見出された。しかし、候補変異の絞り込みは完了しておらず、現在検討中である。また、チワワの神経セロイドリポフスチン症については、CLN7遺伝子の原因変異に関する遺伝子型検査法を開発して、チワワ集団および他のトイ犬種集団での変異アレル頻度調査を開始した。また、ミニチュアダックスフンドの進行性網膜変性症(CRD)の遺伝子型検査法を開発して、ミニチュアおよびカニンヘンダックスフンド集団のアレル頻度を調査し、両集団ともに非常に高い頻度(0.3以上)であることを明らかにした。猫疾患では、エーラスダンロス症候群においては、皮膚脆弱症に関連する遺伝子のコード領域を調べた結果、ADAMTS2遺伝子に本疾患との関連が示唆されるミスセンス変異が見出された。また、その変異は、いくつかの純血種猫および雑種猫集団に、比較的高い頻度で存在していることが判明し、猫の同疾患に重要な意味を有している可能性が示唆された。犬の捕捉好中球症候群においては、合成ステロイド(プレドニソロン)およびシクロスポリンによる抗炎症・免疫抑制療法が有効であることが、本症例2頭の長期生存(数年)により実証できた。一方、猫のサンドホフ病(GM2ガングリオシドーシス0亜型)における合成ステロイドを用いた抗炎症療法を数頭の発症猫で評価してきた結果、今回の療法による延命効果はないことが明らかになった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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