研究課題/領域番号 |
25292182
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
岩野 英知 酪農学園大学, 獣医学群, 准教授 (60382488)
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研究分担者 |
樋口 豪紀 酪農学園大学, 獣医学群, 准教授 (00305905)
橋口 周平 鹿児島大学, 理工学研究科, 助教 (40295275)
萩原 克郎 酪農学園大学, 獣医学群, 教授 (50295896)
前原 誠也 酪農学園大学, 獣医学群, 准教授 (50438363)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ファージセラピー / 角膜炎 / 乳房炎 / 緑膿菌 / 黄色ブドウ球菌 / ワクチン |
研究概要 |
1)ファージセラピーの実用化への応用研究(岩野、樋口、前原、萩原、田村(連携)、研究補助(大学院生、学生、実験補助員)) ア)SA実験感染ウシ乳房炎を用いたファージセラピー実用化検討(岩野、樋口、萩原):SA注入によるウシ乳房炎へのファージセラピー試験を行った。SA 103/10ml(100 /ml×10ml)を4つの全乳房に注入。体細胞数およびSA分離の有無等を指標としてSAの乳腺感染を確認し、約5日間の経過観察(SA菌数、体細胞数)を実施した後、ファージ1010/10ml(109/ml×10ml)を2つの乳房(左後ろ、右前)のみに投与した。投与期間は、朝夕2回5日間とした(合計10日間)。ファージ注入後、朝夕に採乳し、各時点乳汁中の細菌数、体細胞数、ファージ数を計測した。結果、菌数の一時的な低下は見られたが、ファージによる炎症反応の収束や、細菌数の劇的な低下は見られなかった。最初に乳房へ注入した細菌数が多すぎたため炎症反応がひどく、ファージの効果が現れにくかった事も一因と考えられる。次年度は、その点を考慮して複数回の再試験を行う予定である。 イ)細菌性角膜炎へのファージ製剤開発(岩野、前原、田村):SA、緑膿菌に対する特異的ファージを複数分離することができ、角膜炎モデルマウスにてファージセラピーの劇的な効果を確認できた。また、ファージの吸着効率は高く、試験管内での吸着試験では、30秒以内で90%以上のファージが細菌に吸着することが明らかになった。この性質はウマ角膜炎への点眼剤としての開発に有利に働くものと考えられる。 2)ファージワクチンの応用研究(岩野、橋口、樋口、萩原) これまで報告のある論文を精査し、抗原候補となる部位を特定した。次年度からファージディスプレイによりマイコプラズマ抗原を発現したファージの構築を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1) ウシを使った感染実験のトライアルができ、本格的な乳房炎へのファージセラピー効果を検証する手はずが整っていること。 2) ウマ角膜炎については、主要病原菌である緑膿菌に対して有効なファージを数種類集めることに成功し、さらに角膜炎モデルマウス試験で絶大な治療効果が得られている。次年度からは、臨床応用製剤化に向けた検証も進めていく予定である。 3) ファージワクチンについては、ほぼ情報整理が終了し、次年度から組み替えファージの作製に取りかかる予定である。 以上のように、おおむね順調に進展している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
全体的に方向性に変更はない。乳房炎へのファージセラピーの応用は、条件を整えつつ引き続きファージセラピーの有効性を検証していく。また、ウマ角膜炎への応用に関しては、絶大なる効果が期待でき、製薬企業からのアドバイスも参考にしながら、製剤化への検証を推し進めていく予定である。次年度は実際にウマ角膜炎での実証研究も計画していきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額理由 次年度に環境中からのファージを大量にハンティング、精製することが必要となり、そのため次年度に安全キャビネットを購入する必要があるため、予算を繰り越して対応することとした。 次年度使用計画 上記理由の通り、環境中からのファージを大量にハンティング、精製することが必要となり、そのため次年度に安全キャビネット(約120万円)を購入することを計画している。本機器の導入により、2人での安全で効率的な作業ができ、研究の推進が期待できる。
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