臨床応用可能な犬猫のiPS細胞の樹立を目指し、様々な未分化関連遺伝子と培養添加物を組み合わせた260回におよぶ樹立実験を実施した。いくつかの条件で形質転換細胞を得たが、真に多分化能を維持するiPS細胞は樹立できなかった。網羅的メタボローム解析から犬猫の細胞では初期化時に極度の酸化ストレスを受け、リプログラミングの障害となっていることが明らかとなった。一方で、犬猫細胞からヒトiPS細胞の培養維持が可能なFeeder細胞の作出、マウスES細胞の培養維持が可能な犬LIFの作製に成功し、臨床応用に向けたiPS細胞の周辺技術基盤は整備できた。さらにネコグルタル酸尿症II型の遺伝子診断技術を確立した。
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