研究課題/領域番号 |
25292189
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
松本 和也 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (20298938)
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研究分担者 |
三谷 匡 近畿大学, 先端技術総合研究所, 教授 (10322265)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 発生・分化 / 遺伝子 / 動物 |
研究実績の概要 |
本研究では、プロテアソーム分解系が関与するマウス受精卵のエピジェネティック・リプログラミングの分子制御機構を明らかにすることを目的としている。本年度は、プロテアソーム分解系の標的となる母性タンパク質の知見を得るため、プロテアソームサブユニットPSMD14と相互作用する因子の探索を、酵母ツーハイブリッドシステムにより行った。その結果、PSMD14と相互作用する因子を発見することができた。また、UPSの標的となる母性タンパク質同定の追加となる知見を得るため、既報データリスト及び公共データベースを利用したバイオインフォマティクス解析によって、卵母細胞において高発現が予想されるユビキチンリガーゼをリストアップした。その結果、同方法により、ユビキチンリガーゼと相互作用する因子を探索できた。 さらに、ZGAの開始制御及び胚発生に関与する、受精直後の時期に分解される母性タンパク質を明らかにするため、受精卵におけるタンパク質の過剰発現実験系の確立を行った。まず、未受精卵及び受精卵においてプロテオーム解析を行った既報(Wang S et al., PNAS, 2010)、及びユビキチン化修飾を受けるタンパク質のデータベース「PhosphoSitePlus」を用いて、受精直後の時期にUPSにより分解される母性候補タンパク質のリストアップを行った。特に、胚性ゲノムの転写制御に関与する因子に着目して解析するため、Gene Ontology解析により、転写に関連するタンパク質を選別し、17個のタンパク質を実験対象とした。現在、これらの母性候補タンパク質をコードする遺伝子を挿入した卵子用の発現ベクターの構築及びmRNAの合成を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の採択以降、研究は順調に進展した。それに伴って、本年度は関連する論文1報・学会発表14報を公表した。本研究の進展によって、酵母ツーハイブリッドシステムによって、プロテアソームサブユニットPSMD14と相互作用する因子を発見することができた。さらに、既報データリスト及び公共データベースを利用したバイオインフォマティクス解析によって、卵母細胞において高発現が予想されるユビキチンリガーゼをリストアップした結果、ユビキチンリガーゼと相互作用する因子を探索できた。本年度の研究進捗を経て、受精後の母性-胚性移行時期におけるプロテアソーム分解系の関与を明らかにする知見が順調に得られていると判断された。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画通りに、最終年度は受精直後の胚においてプロテアソーム分解系の標的母性タンパク質として同定された候補タンパク質と相互作用するタンパク質群が受精直後のクロマチン構造の変化で果たす役割について解析を進める。さらに、受精直後から2細胞期の母性-胚性移行時期においてプロテアソーム分解系が関与するエピジェネティック・リプログラミングの分子制御機構の解明に向けた知見獲得を進める。
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