研究課題
これまでの研究でネコのコーキシンのエクソン2で作成したTALENに特異的なコーキシンの遺伝子切断活性が認められたが、さらなる切断効率の改良をめざし、CRISPER-CAS9システムでの検証を行った。昨年度の結果を含め、エクソン1および2領域をターゲットとしたCRISPERをそれぞれ1か所設計し、CAS9のmRNAとネコ腎臓CRFK細胞に導入して切断活性を調べた。その結果、エクソン2をターゲットとしたもので比較的高い切断活性が認められた。次にネコの交配法を改善してネコを交尾して、受精卵を採取し、TALENおよびCRISPER-CAS9をネコ受精卵にマイクロインジェクションした。受精卵を培養してDNAを抽出しPCRで切断活性を調べたが、切断活性は認められなかった。そこで、これまでコーキシンが排泄されていないことが確認されているマウスやイヌの尿中にフェリニン代謝産物が排泄されているか高感度LC-MS/MS法で調べ、研究を継続することにした。その結果、これまでフェリニンの尿中排泄がないと言われていたこれらの動物の尿中からフェリニン代謝産物のN-アセチルフェリニンがネコの100分の1以下で検出することができた。一般にフェリニン前駆体のジペプチドは、ジペプチダーゼで分解され生じたシステイン抱合物は直ちに細胞で吸収されアセチル化された後に尿に再分泌されて排泄されると言われている。よってイヌやマウスの尿にN-アセチルフェリニンが検出されたと考えられる。一方、ネコの場合、一部のフェリニン前駆体はイヌやマウスと同様の代謝系で処理されるが、大部分が比活性の低いコーキシンによってゆっくり分解される為、再吸収を免れたフェリニンが尿にそのまま分泌され、更に分解され揮発性の化合物ができ、それが尿に特有なネコ尿臭を与えていると考えられた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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