研究課題/領域番号 |
25292192
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
宮野 隆 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (80200195)
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研究分担者 |
平尾 雄二 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, その他部局等, 研究員 (10355349)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 応用動物 / 卵母細胞 / 卵胞 / 体外培養 |
研究概要 |
ウシおよびブタの初期胞状卵胞から,直径約100μmの成熟能力をもたない卵母細胞を含む卵母細胞-顆粒膜細胞複合体を採取して体外で2週間培養し,複合体による卵丘形成を解析し,以下の結果を得た。 1)ウシでは培養液中に4%の濃度でpolyvinylpyrrolidone(PVP)を添加すると,複合体はドーム様構造を形成し,その内部で卵母細胞が高率に生存性を保った状態で発育したが,ブタではPVP濃度が2%の場合,卵母細胞の生存性が高く保たれ,複合体はドーム様構造を形成した。 2)ウシの複合体では,培養液中にエストラジオール17βを添加すると卵母細胞の生存性は高く保たれたが,ブタの複合体ではエストラジオール17βに加えてFHSを添加すると卵母細胞の生存性が高く保たれた。 3)エストラジオール17βを添加して2週間培養したウシ卵母細胞は,直径約120μmへと発育した。また,顆粒膜細胞から透明帯を貫通して卵母細胞へと伸びるtranszonal projectionの数は培養の間,減少したが,エストラジオール17β添加によって減少が抑制されること,アンドロステンジオンにも弱いながら同様な作用があることが分かった。 4)高濃度のPVPが作り出す高分子クラウディング様の状態において,卵母細胞-顆粒膜細胞複合体と培養基質(ミリセル)との接着の強さはブタとウシで異なり,ウシで強くブタで弱いことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ウシでは培養液中に4%の濃度のpolyvinylpyrrolidone(PVP)が,ブタではPVP濃度2%の場合,卵母細胞の生存性が高く保たれ,複合体はドーム様構造を形成することが明らかとなった。また,培養液へのエストラジオール17βおよびFSHの添加によって顆粒膜細胞の増殖が刺激され,卵母細胞の生存性は高く保たれることが分かった。
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今後の研究の推進方策 |
培養中に形成される卵丘様構造において,卵丘への分化が起こっている可能性を調べるとともに,卵丘形成(顆粒膜細胞の分化)に及ぼす酸素分圧,cAMPアナログ,KITリガンド,ステロイドホルモンなどの影響について解析する。体内で発育した卵母細胞と同様に,卵母細胞が顆粒膜細胞との結合を維持すること,成熟能力を獲得する可能性を調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
ウシ卵巣採取のための旅費の支出を計画していたが,都合により取りやめとなった。 今年度4月に採取を計画している。
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