研究課題/領域番号 |
25292193
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
堀内 浩幸 広島大学, 生物圏科学研究科, 教授 (80243608)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ゲノム編集 / TALEN / CRISPR/Cas9 / 鳥類 / ニワトリ / ノックアウト / 多能性幹細胞 / 発生工学 |
研究実績の概要 |
本研究では,鳥類におけるゲノム編集技術を確立することを目的に,鳥類の雄化に関わるHEMGEN遺伝子を標的に人工ヌクレアーゼ(TALEN)を作製し,ニワトリ多能性幹細胞からHEMGENノックアウトニワトリを作出し,その表現型により本技術導入の可否を判断するものである。平成26年度は,平成25年度に作製したTALENを用いてニワトリエピブラスト幹細胞(epiSC)からHEMGENノックアウト多能性幹細胞の樹立に取組んだ。その結果,平成25年度に作製したTALENは,ニワトリ多能性幹細胞に対して変異導入効率が極めて低く,ここからHEMGENノックアウト多能性幹細胞の樹立は困難であることがわかった。そこで,平成26年度はニワトリ多能性幹細胞に対する変異導入効率を上昇させることを目的に,①一過性の薬剤選抜の実施,②TALEN発現カセットのoneベクター化の実施,③CRISPR/Cas9システムの導入を検討し,問題点の解決に取組んだ。一過性の薬剤選抜の実施では,ベクターに組込んだhygromycin耐性遺伝子を利用して,ベクターを導入後100 μg/mLのhygromycinを添加し,48時間培養し変異導入細胞の濃縮を試みた。その結果,epiSCにおいて,変異導入効率が96%であり,またノックアウト変異率は72%と高効率にノックアウト変異を導入できることがわかった。TALEN発現カセットのoneベクター化では,変異導入効率は89%であり,ノックアウト変異率は11%であった。以上の結果から,TALENを用いてニワトリ多能性幹細胞にノックアウト変異を誘導するには,oneベクター化でベクターの導入効率を上昇させるよりも,一過的な薬剤選抜が有効であることが判明した。CRISPR/Cas9システムでは,HEMGENのエクソン1の開始コドン下流の4箇所に標的配列を設定し,発現ベクターを構築した。構築したベクターを用いて,epiSCによるSSAアッセイを行ったところ,一カ所の標的配列でTALEN発現ベクターと同等の切断活性を有することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は,研究計画調書並びに交付申請書に記載した研究計画を遂行する上で発見された問題点を克服し,HEMGENノックアウト多能性幹細胞の樹立までには至らなかったが,樹立するための有用なツールを発見した。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度以降は,TALENもしくはCRISPR/Cas9の系から早急にHEMGENノックアウト多能性幹細胞の樹立を行い,HEMGEN遺伝子ノックアウトニワトリの作出に取組む。
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