研究課題
カイコの巨大単一細胞Verson’s glandは終齢きにおいて幼虫から蛹へと変態し、その蛹コミットメントは摂食と血中幼若ホルモン(JH)の低下により引き起こされることをすでに示した。JHによるコミットメント抑制の分子機構は昨年度にほぼ解明できたので、平成27年度はインスリンによるコミットメントの誘導に焦点を当てた。我々が開発したVerson’s glandへの遺伝子の導入技術により、インスリン伝達経路関連因子をdsRNAによりサイレンシングして、インスリンのコミットメントに及ぼす役割について追求した。その結果インスリンはVerson’s glandの外の組織に作用して液性因子を生成し、この因子がVerson’s gland内に取り込まれることにより、幼虫形質を発現できないようにコミットメントすることを明らかにした。しかし蛹形質を発現する蛹コミットメントを引き起こすことが出来なかった。一方Verson’s gland内ではTORにより活性化された Aktが蛹コミットメントを引き起こすことを明らかにした。すなわちVerson’s glandの蛹コミットメントは、JH不在下において、幼虫形質発現を阻害するインスリンシグナル経路と実際の蛹形質のコミットメントを誘導するTOR シグナル経路が関与する2つのステップで誘導されることがわかった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 4件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
J. Insect Physiol.
巻: 80 ページ: 15-21
http://dx.doi.org/10.1016/j.jinsphys.2015.01.005
巻: 80 ページ: 1
http://dx.doi.org/10.1016/j.jinsphys.2015.07.016
巻: 80 ページ: 31-41
http://dx.doi.org/10.1016/j.jinsphys.2015.02.011
Physiol. Entomol.
巻: 40 ページ: 247-256
DOI: 10.1111/phen.12109
東北蚕糸・昆虫利用研究報告
巻: 40 ページ: 1-7