ツマグロヨコバイのバクテリオーム(bacteriome)のEST解析から、機能未知の遺伝子が高発現していることが判明している。これらの遺伝子の機能を解析する一環として、それら遺伝子のRNAiを行い、さらにRNAi個体の発現遺伝子変化をマイクロアレイを用いて解析した。EST発現数から上位3つの遺伝子(Top1~Top3)のdsRNAを合成して、ツマグロヨコバイに注射した。発育などに変化は認められなかったので、ヨコバイで発現している遺伝子を網羅的にマイクロアレイ解析にかけた。それぞれのプローブに対して検定を行い、有意なものをリストアップした。 Top1で有意に発現上昇したものは12個、発現が減少したものは17個であり、そのほとんどが機能不明の遺伝子であり、特定の遺伝子に対するTop1遺伝子のRNAi効果は定かではなかった。Top2のRNAi実験では、発現上昇したものが353個、減少したものが680個と多くの遺伝子の発現に影響が見られた。発現量が減少したものとして、多くのpeptidoglycan recognition protein gene(PGRP)が認められた。このPGRPは、ツマグロヨコバイのbacteriomeで多数の遺伝子が高発現しており、共生に係わる重要な遺伝子と推定される。Top3のRNAi実験の結果からは、発現上昇したプローブが97個、減少したプローブが31個であった。上昇した遺伝子の中には、PGRP遺伝子が認められ、Top2のRNAiと逆の効果が認められた。 これらのことから、bacteriomeで高発現しているPGRP遺伝子の発現に二つの遺伝子(Top2とTop3)の発現が関係していることが判明した。
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