ツマグロヨコバイのバクテリオームで高発現している上位3遺伝子(Top1~Top3)のRNAiを行い、マイクロアレイで発現変化を解析したところ、Top2遺伝子のRNAiは、peptidoglycan recognition protein (PGRP) の発現を抑制し、逆にTop3遺伝子のRNAiは、PGRPの発現を促進した。PGRPは、バクテリオームでだけ発現しており、通常の免疫反応にかかわるのではなく、別の機能を有している可能性があり、バクテリオーム内で共生の機構、あるいは共生の維持などに関わると推定される。Top2およびTop3のRNAiは、ほかの遺伝子の発現にも影響を与えており、それらの遺伝子の機能との関係にも着目して研究を進めたが、まだ明確な結論を得るには至っていない。ツマグロヨコバイは、ほかの昆虫ではみられないほど非常に多くのPGRP遺伝子をゲノムにコードしていることが、これまでの調査から判明してきており、バクテリオームでの細菌の共生の成立過程などの解明と考察が重要と考えられた。
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