我々が開発した新規の低温顕微鏡技術により、これまでより高解像度での凍結観察が可能となった。この技術により、木本性植物4種および草本性植物7種において、低温・凍結下における小胞体の動態観察を行った。まず、全ての植物において、細胞外の凍結により小胞体の流動性が停止した。シロイヌナズナではさらに、液胞膜、ゴルジ体、葉緑体およびアクチンフィラメントも全て凍結によりその流動性が停止し、また、凍結中の細胞内カルシウム濃度は高いまま維持されていた。以上より、植物細胞は凍結下で生き延びるために、カルシウムをシグナルとして、その活動を強制的に低下させている可能性が考えられた。
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