研究課題
有害化学物質汚染環境でどのような細菌集団や分解酵素遺伝子群が分解の主たる役割を如何に果たすかの包括的解明のために、本研究では単純化した人工的汚染化閉鎖環境に一定環境由来細菌集団を接種した実験系で、当該細菌集団メタゲノムの解析と、分解能を示す細菌株や分解酵素遺伝子群の取得・解析を実施している。有害芳香族化合物汚染環境由来で初年度分離のフェナントレン(Phn)分解コンソーシアム(MixEPa4)で少数派であったPhn完全分解Mycobacterium属細菌株EPa45の分解能は、MixEPa4由来のPhn非分解Burkholderia属Bcrs1W株共存下で増強され、本増強には、Phnによる前者株生育阻害を後者株が緩和するSGI効果が関与する。本年度の更なる研究で、(1) EPa45は、本株が分解可能なナフタレンやビフェニル存在下で生育阻害を受けるが、後者株は両化合物にもSGI効果を示す、(2)本研究対象環境に由来しない別のPhn完全分解Mycobacterium属細菌株でもEPa45株と同様にPhnによる生育阻害とBcrs1W株によるSGI効果が認められる、そして、(3) Burkholderia以外の分類学的に多様な環境細菌や大腸菌がSGI効果を発揮できる、ことを示した。一方、本研究環境由来で別のPhn分解コンソーシアム(MixBP1)ではその更なる集積培養でPhn完全分解Burkholderia属株HB-1を分離し、(1)本株がMixBP1での主要Phn分解菌株であることを示し、(2)本株ゲノム配列決定で、EPa45株とは異なる分解酵素遺伝子群を推定した。ただ、HB-1株はPhnによる生育阻害を示さなかった。以上の成果により、生育速度が遅くPhn分解能が弱いMycobacteriumのような細菌株の分解能は様々な非分解細菌株共存下で増強されることが判明した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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