本研究は、日本における名勝地保護に関するこれまでの調査研究実績を踏まえ、広く東アジア地域諸国等の現状を把握し、それらの保護及び周辺地域を含んだ保全に関する施策や実践等の比較研究を行うことにより、各国の名勝地保護の取組等の交流を促進し、名勝地概念とその実践を共有することを目的とする。 研究計画第2年度に当たって、初年度に引き続き東アジアを中心とした名勝地の概念と保護・保全に関する包括的検証として基礎的資料の収集・整理及び国内外の名勝地保護に関する調査等を実施するとともに、比較研究及び検討普及の観点から、概念等において深い関連性を有する文化的景観に関して東アジア地域に係る専門家を招聘して講演会(文化的景観講演会「東アジアの文化的景観」2014年9月20日)を開催したほか、名勝地概念と保護制度等に関わる座談会(「東アジアの名勝地保護に関する研究座談会」、同9月21日)を開催した。 東アジア地域については、中国・韓国・台湾の名勝地及びその保護等に関する資料収集のほか、台湾及び中国の名勝地に関する現地調査(台湾第二次調査:2014年8月9-15日、中国:2015年3月5-11日)を実施するとともに当該国の専門家及び所管機関等にヒアリング調査を行い、本調査研究の意義について共有するとともに、今後の情報交換等について、関係する研究者等との協議打合せを進めた。特に日本・韓国との比較の下に、台湾及び中国における名勝地保護の大系に関する共通点・相違点について検討した。 なお、本研究内容の検討・普及等のため、特に、東アジアにおける名勝地保護検討の状況のほか、中国・韓国・台湾における関連諸制度の現状に関する整理を含めた『名勝地保護関係資料集』(384pp)を刊行し、関係各方面に配付した。
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