研究概要 |
日本人の約半数が何らかのアレルギー疾患に罹患していると推定されており、その抜本的対策の確立が喫緊の課題となっている。これまでに申請者らは、国際的に最も罹患率の高いダニアレルギーに対して、感作アレルゲンを網羅的に特定する分子診断法(CRD, component-resolved diagnosis)を提案すると共に、患者の感作アレルゲンプロファイルを解析してきた。更に本法には、従来法で非アトピー性と判定されてきた難治性患者に対する感作アレルゲンの特定にも威力を発揮しうる可能性など、新たな有効性も実証されつつある。本研究では、このプロトタイプCRD 法を更に信頼性の高い診断技術へとに進化させると共に、エビデンスの蓄積を通じて唯一の根治療法である免疫療法を確立するための基盤を整備することを目的としている。 本年度においては、我々が可溶性発現生産に成功している20種類のダニ主要抗原(Der f 1-Der f 11, Der f 13, Der f 14-Der f 18, Der f 20-Der f 22)、および我々が新たに同定した高反応性ダニアレルゲン分子種(Mag133, DFA22, DFA67)の計23種類の組換えダニアレルゲンに対するダニアレルギー患者の感作状況を検体数を増やして検証した。その結果、同組換えアレルゲンライブラリーを用いて検体ごとに異なる感作アレルゲン分子種の特定が充分に可能であること、本系では特に主要抗原Der f 2, Der f 5, Der f 21に対して高頻度な感作を認めること、また、これら3種の主要抗原に陰性の検体は、その他のマイナーアレルゲン分子種に対してそれぞれ固有の感作プロファイルを示すこと、が明らかとなった。
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