研究課題/領域番号 |
25292220
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人農業生物資源研究所 |
研究代表者 |
高岩 文雄 独立行政法人農業生物資源研究所, 遺伝子組換え研究センター, 研究員 (20370661)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | バイオテクノロジー / 細胞 / 遺伝子 |
研究概要 |
OsIRE1遺伝子のヌクレアーゼ活性やタンパク質キナーゼ活性に関与するアミノ酸配列に点変異を導入にそれぞれの活性を特異的に欠損させた改変遺伝子を作製し、相同組換え手法によりイネに遺伝子導入した組換えイネを作出し、世代を進めてホモ化を進めた。さらにそれぞれの活性を欠損させたOsIRE1遺伝子をユビキチンプロモーターで過剰発現させた組換えイネも作出した。まずOsIRE1のタンパク質キナーゼ活性を欠損させた変異遺伝子を相同組換えにより導入したイネにおいては、全ての作出された組換えイネで致死となり、OsIRE1のキナーゼ活性はイネの生存に不可欠であることが示された。次に、ヌクレアーゼ活性を欠損させた場合、OsbZIP50mRNAの細胞質でのスプライシングが起こらず、OsbZIP50の発現を抑制させた場合と同様に、制御下にある各種シャペロン遺伝子群の発現が抑制されてた。違いは膜タンパク質や分泌タンパク質をコードするmRNA分解が抑制されたことであった。一方、ヌクレアーゼ活性やタンパク質キナーゼ活性を欠失させたOsIRE1を恒常的に過剰発現させた場合、小胞体ストレス応答機能が失われ、成長が顕著に抑制された。 植物特有の多重遺伝子を形成するBiP遺伝群の機能解析を進めるため、BiP及びBiPのコシャペロンで小胞体に局在するERdjについて、ストレス応答について調査した。根を用いてERストレスに関与するツニカマイシンやDTT処理、塩処理で調査したところ、前者の処理により全てのBiPおよびOsP58B, OsERdj3A, OsERdj3Bの3種類のERdjの発現の発現が誘導され、塩処理では全く誘導されなかった。これらに特異的な抗体を用いて、ERストレスとの関係を調査したところ、ERストレスと指標とされるBiP4&5の発現レベルと平行した、ERストレスの負荷に伴いこれら3種類のERdjの発現も高まった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
植物における小胞体におけるタンパク質の品質管理機構関するBiP、ERdjとERストレス応答の関係については計画通り進捗している。さらにこれらシャペロン遺伝子群を制御する中心的役割を担うストレスセンサーIRE1によるERストレス応答機構の解明をめざした相同組換えによる遺伝子組換え体を有効に利用した解析についても計画通り進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
ストレスセンサーIRE1によるERストレス応答機構の解明をめざした相同組換えによる遺伝子組換え体を有効に利用した解析については、小胞体ストレス下で誘導される遺伝子をRNAシークエンスに大量解析より同定を行い、マイクロアレーでは検出できなかった遺伝子の検出に努め、OsIRE1の制御下にある特異的シグナル伝達系の解明を進める。 タンパク質の品質管理機構関するBiPとERdjの特異的相互作用や細胞内局在性などこれらシャペロンの生物機能の解明に努める。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験材料の調整(形質転換体イネの世代促進によるホモ化)に時間を要したため、一部予定していた実験が行われなかったため、この試験を進めるため、次年度に繰り越すこととなった。 相同組換えにRNase活性を欠失させたIRE1ノックアウト変異体イネを用いて、小胞体ストレスを誘導し、RNAシクエンス解析によりマイクロアレイでは検出できなかった新規な小胞体ストレス関連遺伝子の検出を図る。
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