研究課題/領域番号 |
25293003
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
中田 雅久 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50198131)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 不斉触媒反応 / 付加環化 / Michael反応 / 生物活性天然物 / 不斉全合成 |
研究概要 |
Liebeskind-Srogl型カップリングを利用するα-アルキリデン-β-ケトイミド合成法は多くの場合で適用可能であった。一方、α-アルキリデン-α-ヨードケトンから生成した有機亜鉛試薬はイソシアネートと反応し、α-アルキリデン-β-ケトイミドを高収率で与えた。α-アルキリデン-β-ケトホスホネ-トの合成はフェニルセレノキシドの脱離を利用した合成法が効果的であった。 α-アルキリデン-β-ケトイミドの高エナンチオ選択的[4+2]付加環化により得た生成物のX線結晶構造解析から、α-アルキリデン-β-ケトイミドの2つのカルボニル酸素が不斉触媒に配位し、反応面の立体障害が小さい側からエナンチオ選択的に反応が進行したことが強く示唆された。各種α-アルキリデン-β-ケトイミドとイナミドの触媒的不斉 [2+2]付加環化、触媒的不斉向山Michael反応、アリルシラン、電子豊富な複素環化合物の触媒的不斉Michael付加も高エナンチオ選択的に進行した。 α-アルキリデン-β-ケトホスホネ-トの触媒的不斉向山Michael反応で得た生成物のX線結晶構造解析から、不斉触媒とα-アルキリデン-β-ケトホスホネ-トによるCu(II)錯体が平面四配位から外れた湾曲構造を取り、そのconvex面から求核剤が反応する説明が合理的であることが示唆された。メタリルシラン、アリルシラン、電子豊富な複素環化合物の反応も高エナンチオ選択的に生成物を与えた。向山Michael反応による生成物から(R)- homosarkomycinの不斉全合成に成功した。 Liebeskind-Sroglカップリングによるα‐アルキリデンβ‐ケトエステルの生成と連続するIMDA反応が効率的に進行し、ent-kauranoidの三環式骨格を立体選択的に与えたので、この手法のさらなる検討を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2013年度初頭に立案した研究計画は順調に進展しており、2013年度の研究目的はおおむね達成されている。学会での発表は行っているものの、研究成果の論文化が多少遅れている状況ではあるが、2014年度初期に国際的ジャーナル誌に投稿予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2013年度初頭に立案した研究計画に沿って研究計画を遂行する。当初の予定通り、開発している手法をさらに進展させるとともに、それと併行する形で開発した手法を用いて生物活性天然物の効率的不斉全合成を行い、その手法の合理性を検証する予定である。
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