研究課題/領域番号 |
25293008
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
竹内 洋文 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (50171616)
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研究分担者 |
原 英彰 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (20381717)
田原 耕平 岐阜薬科大学, 薬学部, 講師 (30454325)
小野寺 理沙子 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教 (60720399)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | リポソーム / ボナック核酸 / 点眼 / 経肺 |
研究実績の概要 |
本研究では、近年大きな期待を集めているsiRNAを中心とする核酸医療を具現化し、アンメットメディカルニーズに応える実用製剤開発につなげることを目的として、ボナック核酸送達用微粒子DDS製剤設計の基盤を構築する。着目する薬物送達手法として1)点眼2)吸入の2つルートに限定し、局所投与の有効性、最適DDS製剤設計法を示し、効果的なsiRNA投与手法に関して有益な指針を示すことを目標とする。 以上の目的のため、昨年度の研究成果の一つであるボナック核酸溶液の安定化に関して、多角的に検討を進め、塩の種類、pH、等の最適条件を明らかにした。また、分子修飾されたボナック核酸を用い、ミセル化することにより安定性が向上することも見出した。吸入製剤設計に関しては、核酸モデルとして、同程度の分子量を有する水溶性高分子をモデル物質として用い、ネブライザーによる噴霧特性を濃度、分子量を変化させ特性への影響を明らかにした。さらにキャリアーであるリポソームに封入して同様に噴霧可能であること、適切なネブライザーの種類を明らかにした。 微粒子リポソーム製剤局所動態に関しても、前年度までの研究で確立したin vivoイメージングを活用し、さらに新規表面修飾物質を用いて、さらに滞留時間、細胞取り込みが増大することを示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象としているボナック核酸の安定化条件に関して、昨年度の研究成果を基盤としてより明確な最適条件を決定できた。モデル物質を内封したリポソームに関しては、その新規物質による動態の改善を明らかにできたが、ボナック核酸封入リポソームではその定量の観点で次年度の研究につなぐこととなった。経肺投与の実用化に向けては、ボナック核酸及びそのモデルとなる高分子を用いて、ネブライザー噴霧特性を秋からにし、概ね実用化が可能なところまで来ている。さらにリポソーム懸濁液のネブライザー噴霧に関してもその特性を明らかにできた。
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今後の研究の推進方策 |
ボナック核酸を点眼、経肺の2通りの投与方法により効率よく送達する手法を完成させる。 ボナック核酸点眼投与製剤に関しては、最適微粒子キャリアー処方数種を決定する。これらのキャリアーを用い、これまでに確立した評価系を用い、後眼部送達割合の定量的評価を行う。眼内、特に後眼部の疾患モデル動物を用い、ボナック核酸溶液をレファランスとし、開発したキャリアーに封入した場合にのみ、点眼投与による薬効を発現することを明らかにする。また、前臨床試験を視野に入れ、製剤の安全性、安定性を評価し、点眼製剤開発に向けた種々の評価を行なう。また、これまでのすべての実験成果を総括し、本キャリアーシステムの後眼部送達機能の有用性を明らかにする。 ボナック核酸経肺投与製剤に関しては、リポソーム懸濁型の吸入液剤としての実用製剤開発の基盤確立のため、そのデバイスであるネブライザーによる微粒子懸濁液の噴霧特性を昨年度の成果も踏まえて評価する。特に、高薬物含量の製剤投与を想定し、粘度、粒子の存在が噴霧液滴径に及ぼす影響を中心に評価する。キャリアーの滞留性はすでに、昨年度までの検討で、明らかとなっているが、ボナック核酸封入リポソームでその効果を確認する。 これらの研究成果を総括し、ボナック核酸前臨床試験の前段階までを完結する。
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