研究課題
前年度までに、ボナック核酸の製剤化に必要な安定性に関する基礎データを取得し、また、ボナック核酸の封入率やネブライザーによる吸入特性の観点からリポソーム及びミセル処方最適化を行った。当該年度は、前年度までの結果をもとに、ボナック核酸微粒子製剤の吸入剤・点眼剤への応用を視野にいれ、動物実験を中心にその有用性を評価した。モデル水溶性高分子薬として蛍光標識デキストランをリポソームへ封入し、経肺投与後のラット肺内における滞留性とin vivo安全性を評価した。その結果、リポソーム脂質膜へ吸収促進剤を組み込むことにより、粒子の肺組織移行性が増大し、また粘膜付着性ポリマーや水溶性ポリマーで表面修飾することによりリポソーム肺内滞留性を制御できることを明らかにした。これらのリポソームは肺組織に障害を与えず、安全なキャリアであることも確認できた。以上のデータは、吸入リポソーム製剤の精密設計によりボナック核酸の肺局所挙動を制御できる可能性を示すものである。また、眼局所治療を目的としてリポソーム点眼剤の有用性をin vivo実験を中心に評価した。標的治療部位として前眼部と後眼部の両方を視野にいれ、角膜・結膜及び網膜における点眼後の高分子薬封入リポソーム粒子挙動を評価した。ボナック核酸のような高分子医薬は低分子医薬と比較して、眼組織移行性(特に後眼部)が比較的低いことがわかった。しかしながら、高分子医薬をリポソームに内封することで、前眼部滞留性及び網膜移行性が増大し、さらに、吸入剤の場合と同様に点眼剤においても、機能性ポリマーによるリポソーム表面修飾が有効であることが明らかとなった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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