研究課題
リゾホスファチジルセリン(LysoPS)は、マスト細胞の脱顆粒促進作用、T細胞の増殖抑制作用等を有することが報告されており、新規生理活性脂質として注目されている。我々を含むグループは最近、オーファンGタンパク質共役型受容体(GPCR)の中からLPS1/GPR34、LPS2/P2Y10、LPS3/GPR174をLysoPS受容体として同定した。我々はこれら受容体のシングルノックアウトマウスを作製し、受容体の機能解析を試みた。ところが、通常飼育下ではいずれのノックアウトマウスも異常を示さなかった。そこで我々は、LysoPS受容体アゴニストを開発し、各受容体の機能を薬理学的に探索することとした。我々は以前、LysoPSの部分構造を有機化学的に変換したLysoPS構造類似体を10種合成し、LPS1、LPS2、LPS3に対する活性を評価した結果、LysoPSの部分構造を変換すると、LysoPS受容体の各サブタイプに対する選択性が上昇することを見出していた。本研究では更に45種のLysoPS構造類似体を合成し、LysoPS受容体のサブタイプ選択的アゴニストの開発を行った。まず、LysoPSのセリン残基、グリセロール骨格、エステル結合、脂肪酸鎖の内、一部分だけが他の原子団に置換されたLysoPS構造類似体を45種合成した。結果、グリセロール骨格中のヒドロキシル基をフッ素原子に置換すると、LPS2に対する選択性が上昇し、エステル結合をアミド結合に置換すると、LPS3に対する選択性が上昇することが分かった。また、脂肪酸鎖にベンゼン環を導入すると、各受容体に対する活性が上昇することが分かった。更に、これら部分構造の置換を組み合わせることで、LPS2及びLPS3に対して選択的にLysoPS以上の活性を示す化合物を見出すことができた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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