研究課題
基盤研究(B)
体温は生体の恒常性維持において最も重要な因子の一つであるが、その分子レベルでの調節機構については未だ不明な点が数多く残されている。申請者らは、ショウジョウバエの温度選択行動を指標にした分子遺伝学的手法を駆使することにより体温調節に関わる分子群の同定を進めている。その過程で、脂肪酸のΔ9位に二重結合を挿入する脂肪酸不飽和化酵素desat1が、個体の脂質代謝ならびに温度選択行動の制御において重要な役割を果たすことを見出した。本研究では、脂肪酸不飽和化酵素desat1の体温調節における分子機能の解析を足がかりに、脂質代謝と体温調節の連携を司る分子群をショウジョウバエの分子遺伝学的手法を駆使して同定することを第一の目的とする。本年度は、組織特異的RNA干渉を用いて様々な組織でのdesat1の発現を抑制した結果、ショウジョウバエの脂肪組織である脂肪体において発現を抑制した際に最も顕著な温度選択性の変化(高温域を選択する)ことを見出した。さらに、desat1の発現抑制により脂肪体における貯蔵脂質であるトリアシルグリセロールの顕著な減少が観察され、さらに成体の体重・体長の減少、蛹のサイズの減少、さらに細胞サイズの減少を伴うことを見出した。これらの知見により、desat1が脂肪体における脂質・エネルギー代謝の調節を介して体温調節行動を制御していることが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
脂肪酸不飽和化酵素desat1が脂質代謝と体温調節を連携する分子として働き、同酵素が脂肪体における脂質・エネルギー代謝制御に重要な役割を果たすことを明らかにすることができ、当初の研究目的は達成された。
本年度は、desat1を介する脂質・エネルギー代謝制御に関わる分子経路の特定とdesat1の発現を制御する分子機構を明らかにすべく研究を推進する。
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http://www.sbchem.kyoto-u.ac.jp/umeda-lab/