研究課題
以前我々は、線虫やマウスの初期胚において、コンドロイチン/コンドロイチン硫酸は、細胞質分裂に必須の役割を担っていることを報告してきた。また、コンドロイチン/コンドロイチン硫酸の生合成機構は、線虫からヒトに至るまで、極めて類似していることも明らかにしてきた。しかしながら現在まで、線虫において、硫酸化されたコンドロイチンの存在は、報告されていなかった。今回、線虫のデーターベースを検索することにより、ヒトのコンドロイチン4-硫酸基転移酵素と相同性をもつ遺伝子C41C4.1を見出した。そこで、線虫からグリコサミノグリカン鎖を抽出し、コンドロイチナーゼABCにより消化後、その分解物を解析した。その結果、硫酸化されていないコンドロイチン二糖の0.5%程度ではあったが、4位が硫酸化されたコンドロイチン二糖が検出された。次に、C41C4.1を動物細胞で発現させたところ、そのタンパク質は、コンドロイチン4-硫酸基転移酵素活性を保持していた。また、C41C4.1を欠損した線虫の変異体からグリコサミノグリカン鎖を抽出し、解析すると、野生型に比べて4位が硫酸化されたコンドロイチン二糖がほとんど検出されず、逆にヘパラン硫酸の硫酸化の程度が上昇していた。さらに、C41C4.1を欠損した線虫は、酸化ストレスに脆弱であることも判明した。したがって、線虫にもほ乳類同様に4位が硫酸化されたコンドロイチンが存在し、その硫酸化は線虫を酸化ストレスからまもる役割を果たしているものと考えられた。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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