研究課題
心筋細胞にメカニカルストレスを与えることで生じる活性酸素の生成機構を調べる過程で、transient receptor potential canonical (TRPC) 3チャネルがNADPH酸化酵素(NOX2)と結合し、タンパク安定化に寄与することを初めて明らかにした(Nature Commun. under revision)。TRPC3は大動脈狭窄による圧負荷で発現増加し、NOX2発現料を増加させた。TRPC3欠損マウスの心臓では、圧負荷によるNOX2発現増加および酸化ストレスが抑制されており、結果的に圧負荷による心臓の線維化(リモデリング)と心機能不全が有意に抑制されることがわかった。TRPC3はNOX2活性化に必要なプロテインキナーゼC(PKC)ともチャネル活性化依存的に相互作用し、PKCの膜移行および活性化を促進させることも明らかにした(Biochem. J., 2016)。一方、末梢の血管平滑筋細胞においては同じ脂質活性化TRPCチャネル群に属するTRPC6チャネルが平滑筋細胞の表現型発現に関わっており、特に下肢虚血後の副側血行路形成の過程で必要な平滑筋細胞の増殖時にTRPC6チャネル発現量が増加していること、一方でTRPC6チャネル発現増加に伴うチャネル活性増加が血管成熟に対して負に働くことがわかった。さらに、TRPC3/6チャネルを阻害する小分子化合物が下肢虚血後の末梢循環障害を有意に改善することも明らかにした。以上の結果から、TRPC3/6チャネルが心筋細胞や平滑筋細胞の恒常性維持に寄与する重要なチャネルであると同時に、末梢循環障害や慢性心不全の新たな創薬標的分子となる可能性が示された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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