研究課題
筋萎縮性側索硬化症 (ALS) で変性するアルファMNは、投射する筋線維のタイプによりFF (fast-twitch fatigable)、FR (fast-twitch fatigue-resistant)、S (slow-twitch fatigue-resistant) の3種のモーターユニットに分類される。我々はこれまでに、細胞外マトリクス蛋白質であるオステオポンチン (OPN) がアルファMNに特異的に発現し、MNの変性に伴い細胞外に放出されてECMに蓄積することを報告している。一方で、Fast MNに特異的に発現する分子としてマトリクス・メタロプロテアーゼ9 (MMP-9)が報告されている。マウス脊髄を免疫染色すると、OPNとMMP-9は異なるMNに発現が認められた。また、赤筋及び白筋への逆行性神経トレーサー注入によるモーターユニット特異的な標識、および筋線維タイプ (I, IIA, or IIB) の分別染色により、OPNはFRまたはSタイプMNに特異的に発現することを見出した。さらに、ALSモデルマウスの各病期では、病気の進行に伴いMMP-9陽性MNの数が最初に減少し、その後OPN陽性MNの数が減少する傾向が見られた。またALS発症期の前後において、OPN及びMMP-9共陽性のMN(ダブルポジティブMN)が観察された。このダブルポジティブMNは、FF モーターユニットの変性(第1波のMN変性)の後に代償的にリモデリングしたFR(またはS)であることを、筋線維サブタイプの分別染色および筋肉への逆行性神経トレーサー注入により確認した。さらに, ダブルポジティブMNでは小胞体ストレスマーカーおよびOPN受容体であるインテグリン (αvβ3) の発現が観察された。以上より、ALS病態進行における第2波のMN変性の機序に、OPNが関与することが示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Acta Neuropathol. Commun.
巻: 4 ページ: 15
10.1186/s40478-016-0286-7
PLoS One
巻: 10 ページ: e0140750
10.1371/journal.pone.0140750
Int. Immunolpharmacol.
巻: 29 ページ: 71-75
10.1016/j.intimp.2015.05.030
Int. Immunopharmacol.
巻: 29 ページ: 127-134
10.1016/j.intimp.2015.04.015