研究課題
基盤研究(B)
本研究では、免疫プロテアソームのβ5iサブユニットに対する特異的阻害物質を探索するために、新たにアッセイ系を構築し、薬用海洋資源ライブラリーから新規阻害物質を単離することを目標とした。さらに、これまでに構築したアッセイ系を用いて、E1、E2、E3、脱ユビキチン化酵素及びポリユビキチン化されたp53のリクルートに対する阻害物質を探索し、p53の作用を増強するがん治療薬の開発を目指す。構成型プロテアソームは、以前、ラットの肝臓から調製した。今回、同様の方法を用いて、ラットの脾臓から免疫プロテアソームを調製した。2種類のプロテアソームにおいて、キモトリプシン様活性を評価するため発蛍光性基質を反応させ、天然資源の抽出物をスクリーニングした。今後、構成型プロテアソームよりも免疫プロテアソームをより強く阻害した抽出物から阻害物質を単離・構造決定する予定である。一方、p53の作用を増強するがん治療薬の探索のため、引続き、既に確立したアッセイ系(E1、E2、E3、脱ユビキチン化、リクルート過程)を用いて阻害物質の探索を行った。そして、海綿Stylissa massaの抽出物が脱ユビキチン化酵素USP7の作用を阻害したので化合物の精製を行い、spongiacidin Cを天然物として初めてのUSP7阻害物質として単離することができた(Bioorg. Med. Chem. Lett.)。USP7は、がん抑制遺伝子産物p53のプロテアソームによる分解を促進するHdm2(ヒトMdm2)に結合し、自己ユビキチン化したHdm2からユビキチンを除去する働きをする。したがって、USP7に対する阻害物質はp53を安定化させ、がん抑制効果を示すと考えられる。
1: 当初の計画以上に進展している
当初予定していた免疫プロテアソーム調製とスクリーニングだけでなく、天然物として初めてのUSP7阻害物質として海綿からspongiacidin Cを単離することができたので、当初の計画以上に進展していると判断した。
構成型プロテアソームよりも免疫プロテアソームをより強く阻害した抽出物から阻害物質を単離・構造決定する。さらに、p53の作用を増強するがん治療薬の探索のため、引続き、既に確立したアッセイ系(E1、E2、E3、脱ユビキチン化、リクルート過程)を用いて阻害物質の探索を継続する。
3月に抗体を注文したが国内在庫がなかったので、納品が4月になることになった。そのため、次年度使用額が生じた。4月に納品になる抗体を用いて、予定の実験を行う。
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