研究課題/領域番号 |
25293025
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
塚本 佐知子 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 教授 (40192190)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 免疫プロテアソーム / 自己免疫疾患 / 創薬 / 天然資源 |
研究実績の概要 |
本研究では免疫プロテアソームのβ5iサブユニットに対する特異的阻害物質を探索するために、新たにアッセイ系を構築し薬用海洋資源ライブラリーから新規阻害物質を単離することを目標とした。さらに、これまでに構築したアッセイ系を用いて、E1、E2、E3、脱ユビキチン化酵素USP7に対する阻害物質を探索し、p53の作用を増強するがん治療薬の開発を目ざし研究した。構成型プロテアソームは、ラットの肝臓から調製し用いている。そこで、本研究では同様の方法を用いてラットの脾臓から免疫プロテアソームを調製しスクリーニングした。そして、構成型プロテアソームよりも免疫プロテアソームをより強く阻害した抽出物から阻害物質を単離・構造決定した。 一方、p53の作用を増強するがん治療薬の探索のため、引続き既に確立したアッセイ系(E1、E2、E3、脱ユビキチン化酵素)を用いて阻害物質の探索を行った。そして、平成26年度の研究成果として、5報の原著論文と16件の口頭発表により報告した(「13.研究発表」参照)。原著論文については以下の通りである。(1) 海綿 Acanthostrongylophora ingensから、acantholactam 及び pre-neo-kauluamineと命名した新規アルカロイドを単離し、それら化合物の生物活性と推定生合成経路を発表した (J. Nat. Prod.)。(2) 別な場所で採集した海綿 Acanthostrongylophora ingensから、acanthomanzamines A-Eと命名した新規アルカロイドを単離し、それら化合物の生物活性と推定生合成経路を発表した (Org. Lett.)。(3) Xestospongia 海綿から単離したhalenaquinoneが破骨細胞の分化を抑制することを発見した (Bioorg. Med. Chem. Lett.)。(4) Xestospongia 海綿から新規プロテアソーム阻害物質1-hydroxyethylhalenaquinoneを単離した (Heterocycles)。(5) 海綿 Petrosia corticata から、プロテアソーム阻害物質として strongylophorine を単離した (Bioorg. Med. Chem. Lett.)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まだ、免疫プロテアソームに特異的な阻害物質の発見には至っていないが、新規構成型プロテアソーム阻害物質は発見することができたので、今後も、天然資源からの探索を精力的に進めることにより、天然資源から初めてとなる免疫プロテアソーム阻害物質の発見につながると期待している。
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今後の研究の推進方策 |
構成型プロテアソームよりも免疫プロテアソームをより強く阻害した薬用資源から阻害物質を単離・構造決定する。さらに、p53の作用を増強するがん治療薬の探索のため、引続き、既に確立したアッセイ系(E1、E2、E3、脱ユビキチン化酵素)を用いて阻害物質の探索を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
免疫プロテアソームに特異的な阻害物質が発見された際に、構成型プロテアソームに対する阻害との違いを明らかにする研究を予定していたが、特異的阻害物質を発見できなかった。その研究に必要な試薬を購入しなかったので、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度に特異的阻害物質を発見し、阻害機構の違いを研究する試薬を購入する予定である。
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