研究課題
基盤研究(B)
1.ムライマイシン・カプラザマイシン類の分子量と化学構造の大幅な低減・単純化をはかったアミノリボース欠如型であるラクタム縮環型イソキサゾリジン骨格を有する化合物を設計した。これらの誘導体は、分子内[3+2]付加環化反応を鍵反応として、効率的に合成した。抗菌活性を評価したところ数倍程度の活性の減弱は見られるものの、MRSAやVRE等の薬剤耐性菌に対して抗菌活性を有する化合物を見出した。さらにラクタム環サイズの変更やジアステレオ選択的な合成法を検討し各種官能基を変換した誘導体を合成した。2.プラスバシンの効率的で多彩な誘導体合成に柔軟に対応可能な収束型合成を達成すべく、2-位に不斉中心を有する環状イミンを用いたジアステレオ選択的なUgi 多成分反応について検討し、これを用いて、環化前駆体の合成を行った。3.固相合成によるキナルドペプチンの全合成を達成した。さらにより効率的で様々な誘導体合成に柔軟に対応しうる合成経路を確立すべく、ジアステレオ選択的なUgi多成分反応を用いた第2世代合成を開発した。すなわち、Ugi多成分反応により調製したテトラペプチドを[5+5]形式のペプチド縮合とマクロラクタム化を行うことでキナルドペプチンを合成した。本合成法を用いて数種のキナルドペプチン誘導体も合成した。
2: おおむね順調に進展している
本申請研究では、新規な作用機序を有する薬剤を開発すべく、細菌における4つのターゲット(細菌細胞壁合成阻害膜内作用型、同膜外作用型、転写阻害、バクテリア選択的プロテインキナーゼ阻害)に関して、これらに作用する生理活性天然物のFOSアプローチにより効率的にシードを獲得することを目標としている。そのためには、天然物の合成経路をいち早く達成する必要がある。本年度は、これら4つの標的に関与する天然物のうち、3つの天然物合成経路の確立を達成している。これにより、平成26年度以降に予定している各種誘導体やそのプローブ合成の目処がついたばかりでなく、構造活性相関もスムーズにできる事が期待されるため。
次年度以降は、引き続き4つのターゲットに対するベース化合物の合成を検討し、各種誘導体・プローブの取得を行う。各種生物活性評価を指標としてFOS研究へとステージを移行する。いずれの化合物も、抗菌活性・細胞毒性・血中タンパク質の結合能に関する評価をそれぞれ行う。活性が保持した化合物に関しては、活性を向上すべくさらに誘導体を合成し、良好な活性プロファイルを有する化合物は、マウスを用いたin vivo活性試験を検討する。最終的には、4つのターゲットいずれかからの新規抗菌剤シードの創出を目指す。また同時にプローブ分子を調製し、ターゲットの分子機構や天然物の作用機序の詳細解明を目指したケミカルバイオロジー的アプローチも行う。平成27年度までの2年間を予定している。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 1件)
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