研究課題/領域番号 |
25293027
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石川 稔 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 准教授 (70526839)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 翻訳後修飾 |
研究実績の概要 |
タンパク質の翻訳後修飾を人工的に制御する様々な化合物の創出を目指している。研究計画に従い、[柱1]ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬の創製、[柱2]SUMO化を介するtransrepression選択的化合物の創製、[柱3]ユビキチン化を汎用的に誘導する化合物の創製、[柱4]アセチル化、リン酸化を誘導する化合物の創製研究、を進めている。 [柱1]ヒストン脱アセチル化酵素の一種であるsirt2を強力に阻害し、且つその関連タンパク質であるsirt1とsirt3には阻害活性を示さない化合物を創出し、論文発表した。 [柱2]肝臓X受容体(LXR)に関して、遺伝子応答配列依存的なtransactivation作用と、SUMO化依存的なtransrepression作用を完全分離した化合物の創製に成功した。この化合物は、知られているtransrepression選択的な化合物より強い活性を示した。共同研究者が学会発表し、学生優秀発表賞を受賞した。 [柱3]標的タンパク質を人工的にユビキチン化するために、ユビキチンリガーゼと標的タンパク質を物理的に近づけるべく、両タンパク質に対するリガンドを連結させた化合物を、これまで設計していた。より汎用性を持たせる為に、低分子リガンドが知られていないタンパク質に対しても本方法を拡張すべく検討している。 [柱4]翻訳後修飾を誘導する化合物を設計し、設計化合物を合成している。コンセプト証明に用いる標的タンパク質を変更する必要があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画のうち、[柱1]脱アセチル化、[柱2]SUMO化、[柱3]ユビキチン化を制御する化合物の創製については、順調に研究を進めることができた。[柱4]他の翻訳後修飾を誘導する化合物の創製についても、研究に着手できた。[柱1]については論文として成果を発表することができ、[柱2][柱3]についても来年度に論文投稿を計画している。以上のことから、概ね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従い、[柱4]を重点的に遂行する。[柱2][柱3]について論文として成果を発表したい。さらに[柱2]については、研究計画を前倒しして別タンパク質のSUMO化を誘導する化合物の創製に着手する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に予定していた[柱4]の生物実験の一部を来年度へ移行させ、その生物実験用試薬を来年度に購入することにしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度に、当初の計画通り[柱4]の生物実験を実施すべく、生物実験用試薬を購入する予定である。また、[柱2]が順調に進行しているため、[柱2]の新しい研究展開に対する物品費へ一部を当てる予定である。
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