研究課題/領域番号 |
25293029
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 新潟薬科大学 |
研究代表者 |
石黒 正路 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 教授 (10280687)
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研究分担者 |
西田 浩志 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 教授 (60322541)
高久 洋暁 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 教授 (70350717)
田宮 実 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 助教 (10468960)
山崎 晴丈 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 助教 (20456776)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ゴミシンN / ATR阻害 / 癌 / 生体分子 / 分子モデリング / リグナン |
研究概要 |
ゴミシンNの効率的で実用的な不斉合成法を確立した。この方法はゴミシンのほぼ最終段階において14Cラベルを導入することが可能な合成経路が検討でき、ラベル導入と同様の実験をコールドサンプルにおいて行うことができ、必要に応じてラベル化体の調整が可能となった。 ATRの結合ドメインの候補としてキナーゼドメインについて、テンプレート構造を用いてその立体構造モデルを作成し、さらにゴミシンNをドッキングした複合体構造モデルの構築を行い、キナーゼドメインにおけるゴミシンNとの相互作用部位を検討した。 ヒト由来ATRの活性評価としてエフェクター分子(p53, SMC1, Chk1)のリン酸化を用いて実験を行った。ゴミシンNに関連した化合物を複数比較したがゴミシンNのATR活性阻害が強いことを確認した。試験管内の組み替えATRを用いたキナーゼ活性についても感度向上に向けた検討を重ねている。 in vitro kinase assayを行ったところ,ゴミシンNは分裂酵母由来ATR(Rad3)がエフェクター分子の一つであるCcq1をリン酸化するのを阻害しない可能性が考えられた。ヒトと分裂酵母のATRへのゴミシンNの阻害効果の違いが,アミノ酸配列の違いによる可能性があるので,両者を比較し,ゴミシンNとヒトATRのドッキングサイトのさらなる絞り込みを行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラベル体の合成経路を確立し、必要に応じた調整が可能となっている。 また、分子モデリングによりATRとゴミシンNとの複合体モデル構築から、相互作用部位を特定することができた。 ヒト癌細胞を用いたATR活性試験でゴミシンNの阻害活性を確認した。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに確立した合成経路からゴミシンNの関連したリグナン化合物の合成を行う。また、複合体モデルから予想される相互作用部位に関連する構造部位の修飾を行う。 一方、ATRドメインの発現からタンパク質を調整し、調整したラベル化合物との結合実験をを行うとともに修飾化合物の結合特性を検討する。 試験管内の組み替えATRを用いたキナーゼ活性を用いて、14CゴミシンNの結合を確認する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本課題における標的タンパク質の発現と精製、結晶化について、25年度では酵母における発現と精製を試みてきたが、26年度では大腸菌などを用いた発現と精製を行うこととしたため、そのための使用額が生じた。 使用計画として、1.大腸菌による標的タンパク質(ATRのkinase domain)の発現2.標的タンパク質の精製3.標的タンパク質を用いた阻害剤探索のための系の確立を目的として使用する予定である。
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