軽度認知機能障害は物忘れを特徴とし、この障害をもったヒトは5年間で約50%がアルツハイマー病に進行する。アルツハイマー病発症前に認知機能低下を予防することが重要である。正常な海馬において「神経細胞に細胞外Zn2+が過剰に流入すると記憶が一過性に障害される」との考えに基づき、アルツハイマー病の原因物質と考えられているアミロイドβ(Aβ)1-42が細胞外Zn2+と結合し、海馬神経細胞に取り込まれ、短期記憶を一過性に障害することを明らかにした。また、この障害は細胞内外Zn2+キレーターで回避されることを明らかにした。海馬細胞外Zn2+はアルツハイマー病克服の標的物質であることが示唆された。
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