研究課題/領域番号 |
25293039
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
石井 祐次 九州大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (90253468)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 薬物代謝 / P450 / CYP / UGT / タンパク質間相互作用 / 機能的相互作用 |
研究実績の概要 |
UGT2B7によるCYP3A4機能の調節について、UGT2B7のどのドメインが重要であるのかについて詳細に検討を行った。UGT2B7のC末端領域の部分欠失変異体の発現系を構築し、P450機能へのUGTの影響を解析し、相互作用に重要なドメイン構造、相互作用部位の同定を目指した。平成25年度までに、UGT2B7のcytosolic tailの重要性を見出していたが、今年度は、同じくtype-I型膜タンパク質であるカルネキシン (CNX)とのキメラタンパク質を用いて検討を行ったところ、C末端領域の親水性領域部分は、CNXのそれと置換してもCYP3A4機能の抑制作用が残ることが分かった。さらにUGT2B7のC末端近傍の部分欠失変異体を用いた検討により、UGT2B7のC末端近傍の疎水性領域がCYP3A4機能調節に重要な役割をもつことが明らかになった。これらの成果は、ドイツ スタットガルトにて行われたミクロゾームと薬物の酸化に関する国際シンポジウム(招待講演)にて報告した。また、North American ISSX/JSSX (サンフランシスコ)にて研究協力者の大学院生が報告し、Graduate/Pre-Doctoral Poster Awardsを受賞した。また、CYP3A1がラットUGT2B3に及ぼす影響等についても検討を行い、P450 Biodiversity学会 (国際学会、京都)では、ポスターからシンポジストに選ばれた。CYP3A4がヒトUGT1A7に及ぼす影響における、UGT1A7側の重要な領域についても検討を進めており、国内学会にて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の研究では、P450-UGTのタンパク質間相互作用を、特にCYP3A4-UGT2B7について解析し、UGT2B7のC末端近傍の疎水性領域が相互作用に重要であることを明らかにした。CYP3A4-UGT2B7相互作用において、UGT側の相互作用に重要な部位の候補を見出すことが出来た。また、UGT1A7についても解析し、CYP3A4と他のUGT分子種との相互作用を検討することを通じて、CYP-UGT相互作用の分子メカニズムの更なる解明に向けて、着実に成果が出ていると考えられる。また、CYP3A4による調節におけるUGT1Aサブファミリー上の重要な残基についても明らかになりつつある。さらには、UGTの糖鎖の有無とCYP3Aとの相互作用についても理解が深まっている。これらの研究を通じて、CYP3A4-UGT相互作用による多様なUGT機能の制御機構が明らかになりつつあるため
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今後の研究の推進方策 |
UGTとCYP3A4の機能的相互作用について、UGT側のどのドメインが重要であるのかについて更なる検討を行う。相互作用に重要なドメイン構造、相互作用部位を同定する。また、CYP3A4とUGTとの相互作用における分子種特異性を解析する。CYP3A4がUGT1Aサブファミリーの機能に及ぼす影響についても検討するとともに、さらに、初代培養肝細胞を用いて、UGTをノックダウンし、CYP3A活性をcell based assayにて評価する。Cyp3aノックアウトマウス (KOマウス)の肝臓ミクロゾームを用いて、UGTによって代謝される薬物のクリアランスを調べ、P450-UGT相互作用、UGT-UGT相互作用について検討を行う。これらの検討で確立した実験系を用いて低分子性の環境因子、制御因子の影響についても検討する。これらの取り組みを通して、薬物代謝酵素の機能的相互作用による個体差の要因を明らかにするとともに、得られた結果をとりまとめて、東京にて行われる国際P450会議(招待講演)にて成果の発表を行うとともに、国際毒性学会 (ニューオーリンズ)、また国内学会でも報告する。
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