研究課題/領域番号 |
25293045
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
篠田 晃 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40192108)
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研究分担者 |
早坂 直人 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80368290)
藤永 竜太郎 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30335723)
柳井 章江 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20284854)
國分 啓司 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00432740)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 斑点小体 / 脳 / 培養細胞 / アタキシン / アンドロゲン受容体 |
研究概要 |
1. PCM1等中心体関連分子や神経変性症原因分子huntingtin(Htt)、ataxin3(ATX3)について、培養細胞(静止期)内での局在性を調べると、PCM1等中心体関連分子及びHttは中心体周囲に集積が見られた。ATX3は細胞質に散在性に広がっていた。培養細胞(静止期)内へSTB/HAP1cDNAを強制発現させると中心体周囲に集積していた内因性のPCM1やATX3はSTB/HAP1に局在を示すようになった。Httは散在性に細胞質に広がった。 2. PCM1についてクローニングを行い、GFP-PCM1cDNAプラスミドを作成した。HttのTX-PCM1cDNAプラスミドのクローニングも終了している。ARはGFP-PCM1cDNAプラスミドを作成済みであり、ステロイドフリーでは細胞質にあり、DHT投与では核内移行が見られた。 3. ウィスター雄成獣ラット脳内でPCM1の免疫組織化学染色を行った。その結果、STB/HAP1が発現する領域(特に視床下部、内側視索前野、内側扁桃体等)ではPCM1陽性構造は、神経細胞内で多くが細胞質に点状構造の局在性を示し、STB/HAP1を発現しない領域(線条体、視床等)では、散在性に細胞質に広がっていた。Httはいずれの領域でも細胞質に散在性に広がっていた。さらに脳内でPCM1とSTB/HAP1との蛍光二重染色を行うとPCM1は神経細胞質内でSTB/HAP1に局在していることがわかった。 4. STB/HAP1を発現する細胞株と発現しない細胞株で中心体関連分子等とHAP1/STBおよび神経変性症原因分子Htt、AR、ataxin3等との形態学的関係のデータ収集の準備を始めた。 5. 細胞周期の実験系については、形態学的な方法とDNAアッセイの予備実験を開始した。なお、HAP1を導入しても細胞分裂は進行することを予備データとして得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
25年度の交付申請の段階での以下の計画内容について、下記の状況からおおむね順調に進んでいると判断した。(1)培養細胞(静止期)内へのSTB/HAP1発現がもたらす上記中心体関連分子の局在変化のデータの収集と解析を行う予定であったが,これらについてはほぼ終了している。(2)PCM1を含めて、内因性の種々の中心体関連分子でSTB/HAP1発現によって変化を来すものがあった場合、それらについてクローニングを行い、GFP-PCM1cDNAなどプラスミドを作成する予定であったが、PCM1、Htt、ARのcDNAクローニングは終わっている。(3)ウィスター雄ラット脳内でのSTB/HAP1が発現する領域としない領域での上記中心体関連分子とSTB/HAP1及び神経変性症原因分子との形態学的関係を免疫組織化学法で比較検討を行う計画であった。これについては、予定通り免疫組織化学染色による解析を行った。その結果、 STB/HAP1が発現する領域(特に視床下部、内側視索前野、内側扁桃体等)ではPCM1陽性構造は、神経細胞内で多くが細胞質に点状構造の局在性を示し、STB/HAP1を発現しない領域(線条体、視床等)では、散在性に細胞質に広がっていることを発見し、PCM1とSTB/HAP1との蛍光二重染色を行うとPCM1は神経細胞質内でSTB/HAP1に局在していることがわかった。またHttはいずれの領域でも細胞質に散在性に広がっていた。(4)ここまでを学会発表・論文作成を始める計画であったが、学会発表を行い、論文作成に着手し始めた。(5) 細胞周期の実験系については、形態学的な方法で予備実験を始めた。
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今後の研究の推進方策 |
1. 脳内ではSTB/HAP1が発現する領域(特に視床下部、内側視索前野、内側扁桃体)としない領域(線条体、視床)の中心体関連分子とHAP1/STBおよび神経変性症原因分子huntingtin、AR、ataxin3等との形態学的関係のデータの解析を行う。 2. STB/HAP1を発現する細胞株と発現しない細胞株で中心体関連分子の形態学的データの収集とHAP1/STBおよび神経変性症原因分子huntingtin、AR、ataxin3等との形態学的関係のデータの収集と解析を行う。 3. STBに局在の見られた分子のGFP-PCM1cDNA等を細胞内導入して、これら外因性中心体関連分子とSTB/HAP1および神経変性症原因分子huntingtin、AR、ataxin3の関係をタイムラプスイメージングで解析する。 4. 細胞周期に伴う上記中心体関連分子の挙動に対してSTB/HAP1発現がもたらす局在変化のデータの収集と解析を行う。 5. また次年度に向けて種々の細胞死誘導系を準備し、HAP1や中心体関連分子のcDNAを導入できれば、一部データ収集を開始する。細胞死の誘導系は我々の過去の培養実験系で使用したstaurosporine、異常polyQ伸長アンドロゲン受容体のトランスフェクション、種々のストレス(Thapsigargin等による小胞体ストレス、虚血ストレス、低酸素ストレス、低糖ストレス、低アミノ酸ストレス、熱ショックストレス等)を基本とし、今回の実験系にどれが適するか前もってスクリーニングする。
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次年度の研究費の使用計画 |
EZ-Capture MGと同等のウェスタンブロット解析用装置が共同利用の実験施設に設置されたため、これを購入する必要がなくなり、基金で予定していた経費の一部を補助金で使用したこと、次年度経費がかさむと想像される培養細胞を使った細胞周期やストレス付加実験、cDNAやsiRNAを使った実験等に使用できるよう、基金分の一部を次年度に繰り越すこととした事から、未使用額が生じた。 次年度予定されるin vivo、in vitroの細胞内ダイナミクス解析のための細胞組織化学的解析実験や培養細胞を使った細胞周期やストレス付加実験等でのゲノム抽出・シークエンス解析等に関連した試薬等の購入や、また数多くの中心対関連分子等に対する抗体やプラスミド、cDNAやsiRNAの作成等に関わる試薬購入等の経費に使用することを計画している。
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