研究課題
細胞内物質輸送を担う主要な分子モーターはキネシンとダイニンである。研究代表者は、神経細胞の軸索でシナプス小胞前駆体を運ぶキネシンKIF1A、神経細胞の樹状突起で多胞体を運ぶキネシンKIFC2を発見し、一つの神経細胞の中で異なるキネシンが異なる部位で異なる荷物を運んでいることを初めて示した。その後、in vitroでの一分子計測とクライオ電顕・X線結晶解析を組み合わせたKIF1Aの運動機構の解明と平行してライブイメージングによるキネシンの細胞・個体レベルでの機能を研究してきた。一方、ダイニンについては、研究分担者の島らによるダイニン遺伝子組換え体の発現およびダイニンモータードメインの結晶構造の解明を契機に分子機構の理解が急速に進んでいる。しかし、これらの分子モーターが細胞の中でどのように制御されているか。特に細胞内物質輸送が正しい目的地へとナビゲートされる機構については、未だほとんど判っていない。代表者らのこれまでの研究により、細胞内の部位特異的に構造状態の異なる微小管が局在し、分子モーターがその構造状態の違いを読み解くことで細胞内物質輸送がナビゲートされるという機構の存在が予想される。そこで本研究では、これまで、(1) 分子モーターの運動性に対する微小管の構造状態の影響の解析と、その分子機構の解明、(3)非神経細胞における分子モーターのナビゲーション機構の解析の2つの課題において、上記予想を支持する結果を得ることが出来た。
2: おおむね順調に進展している
研究は、ほぼ予定通りに進展し、最終年度には結果を発表できる段階まで到達できるものと期待される。
ほぼ予定通りに進展しており、このまま計画通りに進めていく予定である。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 3件)
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