研究課題
細胞内物質輸送のナビゲーション機構はこれまでほとんど判っていなかった。我々は、微小管がGTP結合状態とGDP結合状態で異なる構造をとることを示し、神経細胞軸索起始部に局在するGTP結合型微小管が軸索輸送のナビゲーションを行うという新しい概念を提唱している。本研究は、これを発展させ、細胞内物質輸送のナビゲーション機構の基本原理を解明してきた。具体的には、まず、in vitro再構成系で、微小管とキネシンだけからなる系で微小管によるキネシンの運動制御を一分子レベルで解析した。その結果、キネシン濃度依存的に、キネシンと微小管の相互作用は協同性を示し、自己組織化現象が生じる条件を発見した。さらに、その機構を一分子計測とと構造解析を組み合わせることによって解明した。一方、細胞内での輸送制御の実態を明らかにするため、細胞内でキネシンと微小管の結合速度定数を直接計測する一分子顕微鏡システムを構築した。これにより、細胞内でキネシンと微小管の結合制御を微小管1本、キネシン1分子のレベルで明らかにした。その結果、細胞内には、キネシンとの親和性が異なる微小管が少なくとも4種類存在し、キネシンとの結合自体や微小管のダイナミクス、翻訳後修飾など様々な系によって複雑に制御されていることが示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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