これまでの研究経過で、ヒトがん細胞(悪性腫瘍細胞)にのみ高効率かつ選択的に侵入する新規細胞膜透過性ペプチド群 (tumor-homing Cell-Penetrating Peptide; tumor-homing CPP)を開発した。これらはペプチド本来の性質から、組織・細胞に低毒性のため生体低侵襲性であり、制がんを目的とした医療応用に最も適しているという最大の利点を有している。対象疾患(胃がん、大腸がん、膵がん、肝がん、グリオブラストーマ、血液腫瘍(白血病、リンパ腫)にin vitro assayで選択的かつ高効率の取り込みを確認しているペプチド(各疾患を標的する候補ペプチドを2~3種類ずつ保有している)を充分量合成し、蛍光物質で標識したのちに生体レベルでの癌細胞選択的デリバリーを脳腫瘍などのモデルマウスを用いて検証した。今後は、消化器癌、呼吸器癌、血液腫瘍、脳腫瘍の移植腫瘍モデルマウスを作成後、いずれもまず実体蛍光顕微鏡および共焦点レーザー顕微鏡でのオートプシー検体(whole tissue、slice tissueの両者にて)の解析で性能を確認したのち、次段階として近赤外蛍光標識試薬でラベルしたペプチドを投与しIVIS imaging systemを用いた検証を実施する。
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