研究課題
1.母体拘束ストレスとGAD67ヘテロ欠損相互作用の神経発生における検討:妊娠15日目から45分の拘束ストレスと光刺激ストレスを毎日3回3日間、野生型母マウスに与え、同腹のGAD67+/+仔でBrdUによる細胞発生日のアッセイを行い、GAD67+/GFPと比較した。GAD67+/+仔では神経発生は正常であったので、GAD67ヘテロ欠損と母体ストレスが重なることが要因であると証明できた。また、GAD67+/GFP仔では、同腹のGAD67+/+より、有意にcorticosterone濃度が高いが胎盤の不活化酵素である11β-hydroxysteroid dehydrogenese II(11β-HSD2)のmRNAに有意差は無く、胎仔由来のcorticosteroneに差がある可能性が示唆された。2.神経発達障害リスクとしての胎仔脳内タウリン欠乏の検討:胎仔脳でのタウリンの生理機能を検討するため、生後21日齢のTauT-KOマウス神経細胞の活動電位振幅と発火頻度に遺伝型間で有意差があった。SPAKのリン酸化も変化している可能性があった。3.モデル動物脳の網羅的DNAメチル化解析:生後21日齢のモデル動物の前頭葉、海馬、体性感覚野を回収し、「ストレス無、GAD67+/+」「ストレス無、GAD67+/GFP」と「ストレス有、GAD67+/+」「ストレス有、GAD67+/GFP」でPBAT法を用い、網羅的DNAメチル化解析を行った。4.成長後のモデル動物の行動学的評価:生まれた仔は里親に飼育させ、母マウスのストレスの影響を排除したうえで、生後8週齢に達した時点でIntelliCageを用いて、spatial learning, reversal learning, simple reaction time task, premature responseの行動実験を行なった。雌雄で差はなさそうだったので、すべて雄で解析することとした。ストレスの有無でspatial learning, reversal learningに差がある傾向があったが、例数がまだ足りないので結論はできない。
2: おおむね順調に進展している
予定の大部分を実行でき、特に予定した計画の大きな変更もなく、予定通り残りの実験を今年度で達成するめどができた。学会や論文としての公開も順調にできている。
1.神経発達障害リスクとしての胎仔脳内タウリン欠乏の検討:胎仔脳でのタウリンの生理機能を検討するため、TauT-KO マウスを利用して、生後21日齢で脳スライスを作成し、GABAシナプス発達への影響を電気生理学的に解析する。2.モデル動物脳の網羅的DNAメチル化解析:生後21日齢のモデル動物の前頭葉/海馬/体性感覚野を回収し、「ストレス有、GAD67+/+」と「ストレス無、GAD67+/GFP」、また胎仔内側基底核原基についてもRRBS法を用い、網羅的DNAメチル化解析を行う。3.成長後のモデル動物の行動学的評価: 妊娠15日目から45分の拘束ストレスと光刺激ストレスを毎日3回3日間の母体拘束ストレスを行い、生まれたGAD67ヘテロと野生型の雄仔を対象とし、以下の行動解析を行う。認知機能評価:空間的参照記憶課題で場所学習機能を評価し、さらに報酬コーナーを変える逆転学習課題を行う。また、空間的作業記憶課題を与えて、空間認知における作業記憶障害の評価を行う。衝動性・注意機能評価:報酬に対してランダムに遅延時間が挿入され、反応時間の潜時で衝動性・注意機能を評価する。また、遅延価値割引課題でさらに詳しく衝動性を評価する。4. 成長後のモデル動物脳の細胞配置の形態学的解析とシナプス伝達・神経回路機能の生理学的解析:GAD67ヘテロ欠損モデル成獣で、視床下部と正中隆起を灌流固定し、切片を作製し、GABA合成酵素やCRHの抗体で各々免疫染色し、各蛋白の分布と量を解析する。CRH放出にGABAが視床下部で抑制、正中隆起で促進に働く原因が、Cl-トランスポーターの発現の違いであることを検討する。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
Frontiers in Cellular Neuroscience
巻: 9 ページ: -
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http://www.hama-med.ac.jp/uni_education_igakubu_igaku_seiri1.html