研究課題
将来、難聴の病態生理を解明するために、本課題では内耳蝸牛の基礎研究を施行した。+80 mVの高電位と150 mMの高K+濃度を示す特殊体液「内リンパ液」の電気化学環境や水環境の維持機構と生理的意義を研究した。(1)蝸牛K+輸送の制御機構の解析~以前に、内・外2層の上皮からなる血管条に発現するイオン輸送分子が、組織レベルにてK+を一方向性に輸送することで内リンパ液高電位を成立させていることを示していた(PNAS 2008)。この実験結果に立脚し、K+一方向性輸送と内リンパ液環境の維持を記述する数理モデルを構築した(PNAS 2012)。H26年までに、外層の基底膜はNa+の透過性が通常の細胞より極めて高いこと、この特徴が血管条のK+輸送に不可欠であることが予測されていた。H27年度は、in vivo実験でこの仮説を証明した。外層基底膜を低Na+溶液で灌流すると、外層基底膜の過分極が観察された。これらの結果は、上述の仮説を強く支持した。(2)イオンコンダクタンス顕微鏡の応用~(1)において見出だしたNa+透過性を電気生理学的に観察する目的で、生きた状態で複雑な当該細胞の形状を見出す「イオンコンダクタンス顕微鏡」の開発を進めた。Zスキャナーの改良により凹凸の大きい標本の観察が向上した。(3)pH制御機構の解析~K+一方向性輸送を調節するpH動態の調節因子の候補を、以前に複数、質量分析で見出だしていた。このうち、Na+/HCO3-共輸送体3種類に注目した。2種類は外層細胞のみの質量分析により発現が確認された。その中の一種類は、組織学的に外層基底膜に分布が報告されている。我々も蛍光抗体方でそれを確認した。(4)内リンパ液のヒアルロン酸の解析~蝸牛に重要と考えられるヒアルロン酸を定量するため、前年度までに開発した炭素電極測定系を系を駆使し、in vitroでヒアルロン酸に基づく酸化電流を検知した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (25件) (うち国際学会 7件、 招待講演 4件) 備考 (1件)
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