研究課題
本年度は、以下の研究成果を得た。1)D-セリン合成酵素のセリンラセマーゼ(SR) が、細胞質と核の間を移動し、神経細胞死が誘導される際には核に局在しGAPDHやSiahと複合体を形成して不活性化され、過剰興奮に伴う神経細胞死の拡大を抑制する新たな機構を明らかにした。2)D-アスパラギン酸合成酵素と報告されたGot1l1の遺伝子の機能解析を進めた。その結果、 in vitro ではGot1l1は、D-アスパラギン酸合成能を示さず、また、Got1l1の遺伝子ノックアウト (KO) マウス系統を作製し解析した結果、Got1l1の分布は精巣に選択的であり、また、各種臓器でのD-アスパラギン酸濃度を測定した結果、Got1l1は、マウスのD-アスパラギン酸合成には関わらないとの結論を得た。3)SRを培養細胞に過剰発現させるとアミノ酸代謝制御を介してATP合成を高め、細胞死抑制に関わることを明らかにした。さらに、SRにはD-アスパラギン酸合成能があることを、in vitro及び培養細胞で明らかにした。4)新たに野生型SRの結晶構造解析を明らかにし、新規SR阻害剤のリード化合物を同定した。リード化合物をもとにして新規化合物を合成し、in vitroでのSR酵素活性に与える効果の評価と、カイニン酸誘導Arc発現モニターマウスを用いた個体レベルでの機能評価を実施した。5)アストロサイト特異的にD-セリンを分解するDsd1を発現するBACトランスジェニックマウス系統のファウンダーを作製した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)
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