研究課題
心不全では、細胞内のCa2+貯蔵部位である心筋小胞体へのCa2+輸送能が著しく低下し、細胞質Ca2+濃度が上昇し、機能不全を起こす。心筋小胞体膜蛋白質ホスホランバンは、Ca2+ポンプATPase(SERCA)による心筋小胞体Ca2+輸送を抑制的に調節している。本研究の目的は、ホスホランバンに結合してSERCAへの抑制作用を解除して強心作用を発揮する薬物を見出し、その作用を確認することである。ホスホランバン・アプタマーの心不全治療薬としての開発では、血中で安定かつ高力価なアプタマーを得ることが重要である。これまでの研究で得られているホスホランバン・アプタマーのうち、Apt-19をもとに最適化を行った。Apt-19は、アデニンをホスホロチオエート修飾した40 merのRNAアプタマーである。この40 merのアプタマーは、11番目のGから30番目のAまでの20 merのApt19-11-30でもApt-19と同等のホスホランバン阻害作用を発揮した。さらに、短いApt19-11-25、Apt19-17-31、Apt19-16-26、Apt19-17-25、Apt19-18-25、Apt19-17-24を合成し、その作用を調べた結果、Apt19-11-25、Apt19-17-31、Apt19-16-26は、500 nMでApt-19と同等の作用を発揮した。しかしながら、これらの濃度依存性を調べた結果、Apt19-11-25のみはApt19と同程度に50 nM以下の低濃度でその作用を発揮したが、他は100 nM以上の高濃度を要した。さらに、Apt19-11-25の血中での安定性を調べた結果、、少なくとも24時間までは安定で、血中で高い安定性を示した。さらに、このApt19-11-25は、成獣ラットの心筋細胞でもその効果を発揮した。以上の結果から、Apt19-11-25は最適化されたホスホランバン・アプタマーとして心不全治療薬として使用出来る可能性が示された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件)
Molecular Pharmacology
巻: 87 ページ: 277-285
10.1124/mol.114.096461
Cancer Biology & Therapy
巻: 16 ページ: 307-316
10.1080/15384047.2014.1002357
Progress in Retina & Eye Research
巻: 47 ページ: 38-63
10.1016/j.preteyeres.2015.01.004