研究課題/領域番号 |
25293065
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
桝 正幸 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20243032)
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研究分担者 |
桝 和子 筑波大学, 医学医療系, 講師 (50344883)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 糖鎖 / 脳 / 遺伝子 / シグナル伝達 / ヘパラン硫酸 / スルファターゼ / 腎臓 / 糖尿病 |
研究実績の概要 |
ヘパラン硫酸はプロテオグリカンのコア蛋白質に共有結合した糖鎖であり、細胞表面または細胞外基質に存在し、細胞の分化、増殖、接着、移動、形態形成などを制御する。本研究は、ヘパラン硫酸の脱硫酸化を触媒するエンド型スルファターゼSulf1とSulf2のノックアウトマウスを用いて、ヘパラン硫酸の硫酸化修飾が生体内で持つ役割を解明することを目的としている。 Sulf1ノックアウトマウスはドーパミンシグナル異常に基づく行動異常を示すが、その発症機序は不明である。そこで、コンディショナルノックアウトマウスなどを用いて、ドーパミンシグナルにおけるSulf1遺伝子の役割を明らかにする。これまでに、ドーパミD1a受容体、ドーパミンD2受容体発現細胞でCreを発現するトランスジェニックマウス(各2系統)および薬剤誘導型Creマウスを導入し、脳部位特異的なノックアウトマウスまたは薬剤誘導型ノックアウトマウスを作成する準備を進めた。今年度までに、行動実験で使用されるC57BL/6系統への純系化をほぼ完了した。 Sulf1/2ダブルノックアウト成獣マウスを用いて腎臓での異常を解析した。その結果、自然経過(老化と関連すると思われる)として、軽度の蛋白尿とメサンギウム細胞の増殖が出現することを明らかにした。ストレプトゾトシン(STZ)投与により高血糖を誘導した場合に、Sulf1/2ダブルノックアウトマウスで病変の進行度合いが強いことが明らかになった。糖尿病マウスにおいて、Sulf1遺伝子、Sulf2遺伝子の発現が上昇することから、Sulf1/2によるヘパラン硫酸糖鎖修飾は、野生型マウスでは糖尿病性病変の進行を抑制する役割があり、ダブルノックアウトマウスではその抑制が起こらないため病変がより進行するのではないかと考えられた。今度、腎臓病変の進行に関わる分子を明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
糖尿病性腎症の進行にSulf1/2が関与している可能性が示唆され、その分子機序についても研究が進んだ。コンディショナルノックアウトマウスの作成もほぼ順調である
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今後の研究の推進方策 |
STZ投与糖尿病モデルマウスの腎病変出現におけるSulf1/2の役割を明らかにする。特にPDGFシグナルとの関連を明らかにする。Sulf1ノックアウトマウスにおける行動異常とドーパミンシグナルの関連を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウスの繁殖を効率的に進め、飼育匹数を最小限に抑えたことと、試薬類を節約し購入を極力減らしたことにより、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は本研究の最終年度であり論文作成に向けてデータを得るため、通常の計画に加えて、マウスの繁殖や試薬の購入を行い、研究がより一層進むように務める。
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