研究課題
基盤研究(B)
抗原特異的受容体を持つリンパ球は、自身の発現する抗原受容体によって自己・非自己を識別し、外来抗原に対しては免疫反応・自己抗原に対しては免疫寛容が誘導される。実際の生体防御に必要な免疫反応であっても、過剰な反応は有害であり、これを抑えるメカニズムとして、抗原特異的な負の制御機構の存在が想定されている。本研究では、抗原特異的な免疫反応を抑制している細胞群を同定し、その作用機序を明らかにすることを通じて、獲得免疫応答の根幹となる、抗原認識に依存した反応性決定機構と、その制御機構の全体像を明らかにすることを目的とし,平成25年度は、以下の自己免疫疾患モデルマウスにおける抗原特異的免疫抑制細胞数を計測した。1. Id2 欠損マウス(IgE 産生が高いアレルギーモデルマウス)、2. Id3 欠損マウス(シェーグレンシンドロームモデルマウス)、3. SIP1 欠損マウス(全身性炎症性疾患モデルマウス)、4. Runx3 欠損マウス(自己免疫性腸炎発症/多発性硬化症からの回復不全マウス)、5. NZB/NZWマウス (SLEモデルマウス)、、6. ミネラルオイル誘導性 SLE モデルマウス、8. 免疫依存性実験的多発生硬化症モデルマウス。これらの解析により、これらの自己免疫疾患モデルマウスの定常状態,すなわち特定の抗原刺激を与えていない状態における抗原特異的免疫抑制細胞の量、活性化状態を評価することができた。
2: おおむね順調に進展している
当初計画した、ほぼ全ての自己免疫疾患モデルマウスにおいて、その定常状態での抗原特異的免疫抑制細胞数を評価でき、次年度以降の研究計画をほぼ予定通り実行できる目処がついた。
平成25年度に得られた、定常状態におけるデータをもとに、予定通り養子移植実験を行うことで、抗原特異的免疫抑制細胞の自己免疫疾患発症における意義の検証を試みる。できる限り効率よく養子移植実験を行えるよう、各モデルマウス系統の繁殖に留意し、実験に必要な自己免疫疾患モデルマウスの供給に支障を来さぬように努める。
次年度に行う養子移植実験用にあらかじめ自己免疫疾患モデルマウスを繁殖させる予定であったが、これに必要な仔マウスが充分な数生まれなかったため、繁殖用の純系マウス、系統の分析用の遺伝子解析用試薬、養子免疫用細胞の調整、純化に必要な抗体類などの購入、養子移植実験などの研究情報収集のための外国出張、自己免疫疾患モデルマウスの繁殖実験に携わる補助員の雇用を見合わせた。当初計画にに加え、養子移植実験用の自己免疫疾患モデルマウスを繁殖させるための純系マウス、系統の分析用の遺伝子解析用試薬、養子免疫用細胞の調整、純化に必要な抗体類などの購入などに充てる。
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