研究課題
基盤研究(B)
平成25年度の研究計画は次の3項目を設定している。(1)TLSのアルギニン特異的メチル化反応を解析する。(2)lncRNA結合を増強するTLSのメチル化アルギニン残基を決定する。(3)TLSが結合するlncRNAの2次構造を決定する。まず、大腸菌発現GST-TLSを用いてメチル化補助因子の検出を試みた。大腸菌で発現したGST-TLSとStrept-tag標識アルギニン特異的メチル化酵素PRMT5およびHeLa細胞の核抽出液を反応させて、結合タンパク質をSDS-ゲル電気泳動法で展開し銀染色法で検出した。得られた特異的バンドを切り出して質量分析法で解析すると、数種類のバンドが得られた。そのうちhnRNP UがPRMT5のメチル化反応の補助因子と同定された。これより、(1)が大きく前進した。新規脱メチル化酵素に関しては継続して検討中である。次にRNAゲルシフトアッセイの操作が煩雑で結果も不安定なので、効率の良いRNA結合法の再検討から始めた。ビオチン標識pncRNA-Dを、ストレプトアビジンDynabeadsに結合させて、GST-TLSおよびHeLa細胞核抽出液中のTLSをプルダウンし、RNA結合を検出する効率のよい方法を開発した。現在までに4つのアルギニン残基のメチル化をTLSに同定し新規RNA結合法を用いて、lncRNA結合を増強するメチル化アルギニン残基を検索している。このように(2)は、進行中である。(3)では、pncRNA-D全長の配列を再検討して、602残基であることを決定した。この2次構造をCentroidFold (http://www.ncrna.org/centroidfold/)で推測すると、ループおよびステムの構造が提示された。この2次構造と機能との関連を検討している。
2: おおむね順調に進展している
当初の研究実施予定がほぼ達成された。現在、新たな展開が望める状況になっている。このことから、おおむね順調に進展していると判断された。
平成25年度の研究実施計画は9割以上達成された。PRMT5がTLSのアルギニン残基をメチル化するのに補助因子が必要であることを見出していたが、この補助因子がRNA結合タンパク質hnRNP Uであることを同定した。このことは、この補助因子に結合するRNAもTLSメチル化を制御する因子である可能性を提示した点で意義深い。次にRNA結合測定法として用いられているが、結果が不安定なゲルシフト法にかわる、ビオチン化RNAプルダウン法を開発したのは今後の展開上たいへん有用である。そして、5'および3'-RACEを駆使してpncRNA-Dの全長が602塩基であることを決定した意義は大きい。この配列情報から2次構造を推測できた。さらに、ステム‐ループ構造から、pncRNA-Dの機能ドメインの解析に着手できたことは、次年度以降の研究の推進に大きな意義を持つことになる。
講演がキャンセルになり講演者謝金が不要になったことや、予定していた受託解析をせずにすんだため。物品費とその他(受託解析費)に使用予定である。
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BBRC
巻: Vol.444 ページ: 682-686
10.1016/j.bbrc.2014.01.195.
実験医学
巻: Vol.32 ページ: 63-65
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http://www.saitama-med.ac.jp/genome/
http://space.geocities.jp/idensikouzou/index.html