研究課題/領域番号 |
25293073
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
黒川 理樹 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70170107)
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研究分担者 |
藤本 健太 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (50403580)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 酵素 / 遺伝子 / 核酸 / 生体分子 / 発現制御 |
研究実績の概要 |
平成26年度の研究計画は以下の様に設定した。 (1)次世代シークエンサーによるアルギニンメチル化TLS結合性lncRNAの探索 (A)TLSに結合するRNA画分を再確認する。(B)昨年度に同定されたlncRNA結合を増強するメチル化TLSと結合するRNA画分を解析する。 (2)メチル化シグナルによるlncRNA機能の発現機構の解析 (藤本,松下,黒川) (A)(1)で得られたHAT阻害効果を持つlncRNAが高親和性を有するメチル化TLSを特定する。(B)特定のメチル化状態を生じるPRMT5と補助因子の条件を決め、lncRNA機能の発現を見る。 本研究課題の基盤になるNature論文(2008)では、我々が初めて同定したTLS結合性lncRNAであるcyclin D1プロモーター由来RNA(pncRNA-D)の発現は放射線照射による刺激で誘導されることを報告した。この放射線照射の操作は、煩雑なので代替法を模索してきた。本年度は、ソルビトールによる低浸透圧処理が、放射線照射にかわる処理として確立しつつある状況である。この処理法により、(1-A)および(1-B)を再検討している。やはり、本課題の基盤となるTLSのメチル化を再現性良く検出する方法の開発に取り組んだ。TLS‐アルギニンR216・R218に着目して、これらの残基を対称および非対称メチル化した場合に、それぞれの異性体を認識できるモノクローナル抗体の作成に挑戦した。その結果、非対称メチル化R216・R218を認識するモノクローナル抗体の作成に成功した。さらに、平成27年度は対称メチル化を認識するモノクローナル抗体の作成を進めている。これらの抗体を用いて、(A)および(B)を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究実施予定の主目的は変えずに若干内容を変更して進めた。その結果、本課題の基本的問題点が解決でき、新たな展開が望める状況になった。このことから、概ね順調に進展してると判断された。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、本研究の大きな課題であったpncRNA-Dの発現誘導処理の改善と、TLSのメチル化アルギニン検出法の構築に大きな進歩がもたらされた。当初の予定を、少し変更する事にはなったが、この2件が成就された意義はたいへん大きい。さらに、pncRNA-Dの結合部位解析を進め、NMRによる構造データも蓄積しつつある。本年度の進捗が期待される。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた高額の受託解析を延期したため。
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次年度使用額の使用計画 |
抗体等の試薬類の購入と、受託解析費として使用予定である。
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備考 |
埼玉医科大学ゲノム医学研究センター http://www.saitama-med.ac.jp/genome/ 埼玉医科大学ゲノム医学研究センター遺伝子構造機能部門 http://www.saitama-med.ac.jp/genome/Div01_GSF/index.html
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