研究課題
研究の進展により初めの計画に修正を加えたが、本来の目的には変更はなかった。TLSが結合する長鎖非コードRNA(lncRNA)であるpncRNA-Dの詳細な2次構造を解明した(Yoneda et al. 2016)。とりわけ、5末端側のステム-ループ構造の直鎖状RNA領域がTLS結合に必須であるという新規性の高い結果が得られた。このRNA構造は、生化学的解析と共に、NMR解析でも確認された。これは本課題の大きな成果である。我々のNature論文(Wangら2008)では、pncRNA-D発現誘導にX線照射を用いていた。これはX線照射装置が必要なため、実験的障壁となっていた。今回ソルビトールによる高浸透圧処理が、X線照射よりも効率的にpncRNA-Dを誘導できることを示した。今後は、簡便な浸透圧処理を用いていく。このことは、高浸透圧処理によるストレス負荷と長鎖非コードRNAの関連という新たな視点をもたらした。現在、次世代シークエンサーを駆使して、高浸透圧処理でゲノムワイドのlncRNA発現変動を調べている。このlncRNAの中から、TLSへメチル化依存的に結合制御されるRNAが検出されることを期待している。高浸透圧処理により、TLSのpncRNAへの結合が上昇する結果を得た。また高浸透圧処理により、pncRNA-Dのアデノシンメチル化(m6A)が減少した。このことから、pncRNA-Dのメチル化により安定性が低下することが示唆された。TLSのアルギニン(R)216・R218のメチル化による、結合するタンパク質の結合変動を同定して数種類のRNPを見出し、これらの生理的意味を検討している。当初の予想のように、TLSと結合するpncRNA-Dの機能には、メチル化シグナルが重要な役割を果たすことが示された。今後は、メチル化シグナルネットワークのゲノムワイドでの解析を進めていく。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Arthritis & Rheumatology
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
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http://www.saitama-med.ac.jp/genome/
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