研究課題
本研究では、Vps10p(Vacuolar Protein Sorting 10 protein-domain)受容体ファミリーの機能障害が,いかにして生活習慣病などの病理を惹起しているのか,その分子メカニズムを明らかにすることを目的とした.特に,Vps10p受容体がその結合分子種として分泌性因子や酵素類(solubleリガンド)だけでなく、糖輸送担体(GLUT4)やイオンチャネルなどの機能膜蛋白群にも小胞内腔で直接会合するという特殊性に着目した検討を推進した.その結果,GLUT4とVps10受容体ファミリーの一つであるSortilinを発現した細胞に対して,外来性にVps10pリガンド類であるグラニュリン前駆体や脳由来神経栄養因子(BDNF)前駆体を添加することによって,直接的な会合能力を持たないGLUT4タンパク質の細胞内G含量が有意に変動することを見出し,「Vps10p受容体(Sortilin):分泌性リガンド類:複数回膜貫通型蛋白質(GLUT4)」からなるTripartite Complex形成がこれらの細胞内含量と機能の制御において生理的に重要であることを明らかにした.生細胞内のエンドソーム上で一時的に形成される「Tripartite Complexを核とした過渡的分子複合体」は、既存の方法論では解析が非常に困難であったが、本研究では単一分子視覚化ナノ計測技術を駆使した解析系を構築することにより,その高次複合体からなる生体ナノシステムの制御過程について,生細胞内観察することに成功した.これらの研究成果は,Vps10p受容体とGLUT4について,細胞内分子動態の恒常性維持と病態におけるその破綻という生活習慣病の病態機序に新解釈を与えただけでなく,生命分子動態解析学の基盤原理の構築にも資するものと期待される.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://www.ecei.tohoku.ac.jp/kanzaki/index.html
https://www.researchgate.net/profile/Makoto_Kanzaki/