研究課題
基盤研究(B)
平成25年度は主に、RhoJノックアウト(KO)マウスにおける腫瘍血管新生の解析を実施した。まず、Lewis lung carcinoma、B16F10メラノーマ、MMTV-PyMT乳癌モデルマウスにおいて、RhoJが腫瘍新生血管の内皮細胞に高発現していることを確認した。次に、RhoJ-KOマウスを用いて上記癌モデルを作成すると、腫瘍径の増大、肺・リンパ節転移、血管新生のいずれもが抑制されることを明らかにした。血管内皮細胞特異的にRhoJ遺伝子を欠失させても同様の結果が得られた。また、siRNAを用いたRhoJ遺伝子ノックダウンと、VEGF阻害剤あるいはCombretastatin-A4-Phosphataseを同時に投与すると、相乗的な血管新生阻害効果および抗腫瘍効果が得られた。培養血管内皮細胞を用いた研究では、RhoJがRhoA-ROCK経路を抑制することを明らかにした。このため、RhoJ遺伝子ノックダウンにより細胞遊走・管腔形成が阻害され、さらに血管透過性が亢進することが明らかとなった。これらの結果から、RhoJが腫瘍血管新生阻害剤の新たな標的分子となる可能性が示された。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、RhoJ-KOマウスにて腫瘍モデルを作成し、病的血管新生におけるRhoJの役割を明らかにした。また、培養内皮細胞を用いた細胞分子生物学的解析により、RhoJを介した細胞内シグナル伝達機構を明らかにした。
平成26年度は、内皮細胞においてRhoJがVEGFおよびSema3Eシグナルを統合する分子機構を解明するとともに、網膜における生理的血管発生および病的血管新生のパターン形成制御における役割を明らかにする。
平成25年度に予定していた研究は、補助金分のみで実施できたため、平成25年度基金分は全額、平成26年度に使用する。平成26年度は名古屋市立大にて本研究を継続するために、主に物品費にあてる。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 4件)
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