研究課題
平成27年度は、福嶋葉子連携研究者および西山功一連携研究者と共同で、RhoJノックアウトマウスの大動脈輪を用いたex vivo血管新生タイムラプスイメージングを実施し、血管内皮細胞の運動制御におけるRhoJの役割を解析した。その結果、RhoJ遺伝子を欠失した内皮細胞では前向き運動が障害されるとともに、後ろ向き運動が増加するため、新生血管の伸長が遅延することが明らかとなった。同様の結果は、マウス網膜新生血管内皮細胞におけるRhoJ遺伝子組換え実験によっても確認された。すなわち新生仔マウスの網膜血管内皮細胞においてタモキシフェン誘導Cre-loxP遺伝子組換えによりRhoJ遺伝子をモザイク状に欠失させると、RhoJ遺伝子を欠失した内皮細胞が新生血管伸長端に到達できないことが明らかとなった。さらに培養ヒト臍帯静脈血管内皮細胞を用いたタイムラプス解析では、RhoJがVEGFによる前向き運動と、Sema3Eによる反撥運動を相乗的に統合し、方向性をもった細胞運動の効率性を向上させることが明らかとなった。平成26年度までに実施したシグナル伝達の研究結果と併せて、新生血管内皮細胞においてRhoJは、VEGF-VEGFR2シグナルの下流でMAPキナーゼおよびPI3キナーゼ経路を活性化するとともに、Sema3E-PlexinD1シグナルの下流で細胞骨格を再構成することにより、細胞運動を調節し、生理的血管発生および病的血管新生のパターニングを制御することが明らかとなった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 5件)
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