研究課題
前度に得られた結果を基にして、マイクロアレイを用いた網羅的解析によるATF6βによる遺伝子発現制御機構の解明を以下の点で行った。1. ATF6βで制御されるmRNAとmiRNAの同定: ATF6β特有の生理的・病的表現型を示したサンプルからRNAを抽出してマイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析を行い、ATF6βKOをWTとATF6αKOマウスを比較することで、ATF6βで制御されるmRNAとmiRNAを同定し、定量的RT-PCRで確認を行った。2. ATF6βで制御されるmiRNAとその標的mRNAの同定: 哺乳類のmiRNAは翻訳抑制よりも主としてmRNA分解により制御されることが明らかになってきた(Nature (2010) 466: 835-840)ため、TargetScanを用いてATF6βで制御されるmiRNAの標的mRNAを予測し、実際にATF6βで制御されたmRNAの中から標的mRNAの絞り込みを行った。さらに同定したmiRNAを過剰発現あるいはデコイにより機能阻害で標的遺伝子の発現が制御されるかを、定量的RT-PCRで確認した。3. ATF6βで制御されるmiRNAとmRNAによる機能制御の解析:ATF6βで制御されるmRNAをGO解析することでATF6βにより制御される遺伝子発現の意味とさらにその中でmiRNAを介した制御の割合と意味についての仮説を立てた。前年度で行った機能解析の実験系において、仮説の検証を行った。
3: やや遅れている
ノックアウトマウスを用いた網羅的な遺伝子発現解析は順調に進んでいる。しかしながら前年度からのノックアウスマウスの繁殖率の悪さが、ATF6βの生理的意義の個体レベルでの機能解析に遅れて生じている。
本研究では、小胞体ストレス応答を制御する転写因子であるATF6βに焦点を絞り、非古典的小胞体ストレス応答での生体機能制御とその破綻による疾患発症を解明して、先端医療開発の基盤形成を目的としている。今年度に得られた解析結果を基に、前年度に引き続きATF6αとATF6βノックアウトマウスの比較解析を行い、ATF6βによる遺伝子発現ネットワークの全容とその制御の分子機構の解明を目指す。
予定のATF6βノックアウトマウスの産出率が芳しくなく、計画していた計画の実施に遅れが生じて使用額より下回ったため。
解析の使用する試薬に充てる。
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