研究課題
1) NDRG2:NDRG2がPTEN結合タンパク質としてPTENC末端の脱リン酸化に関与し、PI3K/AKT情報伝達系を負に制御していることを同定 (Nature Comm 2014)、今回NF-kB情報伝達系に関して検討し、AKT活性化と、NDRG2発NIK結合タンパク質としてNIK活性抑制に働くが、NDRG2発現低下に伴うNIKのリン酸化亢進がNF-kB活性化に関わる事を同定した(Scientific reports論文投稿中)。2) HTLV-1感染によるNDRG2のメチル化機構の解明:。HTLV-1 Taxからの情報はEZH2等のEPCメチル化を促進し、その一つのターゲットとしてNDRG2が存在していた(論文作成中)。(3)T細胞分化・ATL発症に伴うBCL11B異常発現解析HTLV-1TaxはBCL11Bの発現抑制を行っており、発現パターンの以上を伴っていた。そこで異常BCL11Bの異常を確認するために、二種類のTGマウスを作製し、白血病発症機構を検討している(4)HTLV-1感染とATL接着因子TSLC1遺伝子の過剰発現機構:TSLCI高発現機構の解析のため、プロモーターアッセイによりp47 E3 ligase発現低下がNF-kB活性化に繋がっていることが分かってきた。
2: おおむね順調に進展している
これまでの結果をまとめ、NDRG2の機能解析としてNature Commに2014年に発表した。さらに機能解析が進展し、また、HTLV-1感染による防御機構が 感染のターゲットとしてNDRG2が存在していたことがわかり論文作成中である。この分子機構が明らかになってきたことで、HTLV-1感染に対する細胞内での防御機構としてのNDRG2の重要な役割と、慢性炎症がどのような影響を細胞内に与えるのか、その分子機構がわかってきたことで、将来的な治療法の開発につなげたい。また、HTLV-1TaxはBCL11Bの発現抑制を行っており、発現パターンの以上を伴っていた。そこで異常BCL11Bの異常を確認するために、二種類のTGマウスを作製し、白血病発症機構を検討している。この発見はBCl11Bの新たな機能の発見に格る、重要な発見であり、さらなる分子機構を明らかにする必要がある。さらにTSLCI高発現機構の解析のため、プロモーターアッセイによりp47 E3 ligase発現低下がNF-kB活性化に繋がっていることが分かってきた。TSLC1はATLのマーカーであり、なぜATL細胞の中で高発現しているのか全くわかっていなかった。それがやはりHTLV-1感染に関係しており、NDRG2の発現低下、NFkB活性がその引き金の一つになっていることから、TSLC1の働きを抑える、発現を抑えることが重要な鍵となっている。
(1)NDRG2の機能解析NDRG2の新たな機構を検討するため、NDRG2/PTEN結合タンパク質を網羅的に質量分析計で測定し、検討する。これらのタンパク質との結合と、NDRG2の機能を明らかにし、PTEN/NDRG2の情報伝達系を明らかにする。またPTENのキナーゼ候補として、新たにserine/threonine kinaseを同定している。この情報伝達系についても、現在検討中であり、ATLにおける新しい制御機構を明らかにする予定である。2) HTLV-1感染によるNDRG2のメチル化機構の解明:HTLV-1感染は、リンパ球の中で持続感染しており、HTLV-1 Taxからの情報はEZH2等のEPCメチル化を促進し、その一つのターゲットとしてNDRG2が存在していた。HTLV-1感染に対する細胞内での防御機構としてのNDRG2の重要な役割と、慢性炎症がどのような影響を細胞内に与えるのか、その分子機構がわかってきたことで、将来的な治療法の開発につなげたい。(3)T細胞分化・ATL発症に伴うBCL11B異常発現解析:HTLV-1TaxはBCL11Bの発現抑制を行っており、発現パターンの以上を伴っていた。そこで異常BCL11Bの異常を確認するために、二種類のTGマウスを作製し、白血病発症機構を検討中であり、またHBZ TAXの影響を検討する。BCL11B結合タンパク質の網羅的解析、発現アレイ解析を行う予定で進めている。(4) HTLV-1感染とATL接着因子TSLC1遺伝子の過剰発現機構::TSLCI高発現機構の解析のため、プロモーターアッセイによりp47 E3 ligase発現低下がNF-kB活性化に繋がっていることが分かってきた。本年度中に論文作成投稿を急ぎ、かつ、この結合部位を標的とした治療法の開発を行う。特異的PIPを作成し、その検討を進めている。
ATL動物モデルマウスの実験開発が遅れており、動物使用実験のための費用が3年目で必要となったため、2年目の実験計画を一部変更した。此の実験には質量分析計を使った網羅的結合タンパク質の同定と、遺伝子アレイを用いた網羅的遺伝子発現解析も同時に行うため、これらの費用も含まれている。
動物センターでの飼育費用、遺伝子機能を調べるための遺伝子発現アレイの費用と解析実験、ならびに質量分析計の使用費並びに解析費、それに伴う、分子生物学的実験と細胞培養実験の消耗品に当てる。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (14件) (うち招待講演 2件)
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