研究課題
基盤研究(B)
Nucleostemin (NS)ホモ欠失ES細胞とMaxホモ欠失ES細胞は、いずれもES細胞の未分化性の消失と顕著なアポトーシスのフェノタイプを呈するが、DNAマイクロアレー解析から、NS及びMax遺伝子発現消失に伴う遺伝子発現変化の実態は大きく異なることがわかった。但し、いずれのホモ欠失ES細胞も、pluripotency marker であるNanog及びEsrrbの強制発現により、ES細胞としてレスキューできることがわかった。また、NSホモ欠失ES細胞に関しては、Epiblast幹細胞においても、ES細胞の場合と同様、分化多能性、及びcell viabilityの維持において必要であることがわった。
2: おおむね順調に進展している
ES細胞からの癌細胞を作製する実験に関しては、クリスパーの技術を用いたp16/p19遺伝子座のノックアウトがいまのところうまくいっておらず、それ故、ほとんど研究の進展は見られなかった。一方、ES細胞におけるNucleostemin (NS)及びMaxに関する研究に関しては、それぞれの遺伝子の欠失をレスキューする遺伝子が同定できたとか、DNAマイクロアレーからのデータを用いたバイオインフォーマティックス解析から、いっけん類似したフェノタイプを呈するNSホモ欠失ES細胞とMaxホモ欠失ES細胞では、実際にそれぞれのホモ欠失ES細胞で起こっている遺伝子発現の変化には大きな違いがあるを明確にすることができたなど、予想を遥かに上回る成果を得ることができた。従って、全体として、(2)の「おおむね順調に進展している」を選択することにした。
Nucleostemin (NS)ホモ欠失ES細胞で起こっている変化、及び、その変化をNanog及びEsrrbの強制発現によりレスキューできる理由がDNAマイクロアレー解析を用いたバイオインフォーマティックス解析からかなり明確にすることができたので、まず、それらのデータをまとめて英文誌に発表したいと考えている。かつ、ES細胞からの癌細胞作製に関する研究に関しては当初の予定より遅れているので、その研究により多くのエフォートを投入することで、できるだけ早い時期に予定の遅れを無くしたいと考えている。
平成25年度において、Nucleostemin (NS)及びMax ホモ欠失ES細胞からの癌細胞の作製に関して、予定していたほど多くの時間を費やすことができなかったことと、ES細胞を用いた研究が予想を遥かに超えた順調さでもって研究を進めることができたので、当初想定していたよりも研究試薬に投入した費用が少なくなった。平成25年度から繰り越させていただく研究費は、1つには、昨年度、十分に成果を得ることができなかった癌細胞を作製するという研究のために投入させていただく予定である。かつ、DNAマイクロアレー解析から得られたデータを用いたバイオインフォーマティックスから示唆されたES細胞におけるNucleostemin (NS)及びMax遺伝子の役割に関して、生化学的な見地から裏付けする為の研究に使用させていただく予定である。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (5件)
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