研究課題/領域番号 |
25293082
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
奥田 晶彦 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60201993)
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研究分担者 |
平崎 正孝 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (10522154)
依馬 正次 滋賀医科大学, 動物生命科学研究センター, 教授 (60359578)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ES細胞 / 癌細胞 / c-Myc / Max / Nucleostemin |
研究実績の概要 |
私たちは、平成25年度までにc-Mycタンパク質が転写因子として機能する上で必須なパートナー因子であるMaxをコードする遺伝子とNucleostemin遺伝子のES細胞におけるホモ欠失は、いずれの場合も、無限の自己増殖性、分化多能性といったES細胞の特質を維持することが不可能になるだけでなく、アポトーシスの為、細胞自体の生存も維持できないことを明らかにしてきた。かつ、Maxホモ欠失ES細胞が示す致死的なフェノタイプは、Nanog遺伝子を強制発現させることでキャンセルさせることができることを示してきたが、当該年度において、Nanogの強制発現が、Nucleostemin遺伝子のホモ欠失に伴う致死的なフェノタイプをもキャンセルさせることを見出した。また、このNanog強制発現によるレスキュー効果は、少なくともNucleosteminホモ欠失ES細胞を用いた実験では、ES細胞特異的であり、ES細胞と同様に3胚葉性分化能を持ったEpiblast幹細胞では効果は見られなかった。なお、Nucleosteminホモ欠失ES細胞が呈するアポトーシスの分子基盤に関しては手掛かりを得ることは出来ていないが、Maxホモ欠失ES細胞が呈する致死的なフェノタイプに関しては、少なくともその一部は、Max遺伝子の発現の消失に伴って出現する遊離c-Mycの作用によることを突き止めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、既存のNucleosteminとMax遺伝子のホモ欠失ES細胞を用いて、そこで起こっている致死的なフェノタイプを規定している分子メカニズムを解明し、その分子メカニズムが癌細胞を根絶することにも応用できるかを基本としているが、Nucleostemin遺伝子ホモ欠失ES細胞に関しては、Nanogの強制発現という、そのES細胞が呈する致死的なフェノタイプをキャンセルさせる方法を見出しており、一方、Maxホモ欠失ES細胞が呈する致死的なフェノタイプに関しては、遊離c-Mycが原因の一部であるということを見出しており、確実に研究を前に進めることが出来ていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
Nucleosteminホモ欠失ES細胞が呈するアポトーシスの分子基盤に関しては解明できていないので、その解明を目指し、かつ、Max及びNucleosteminホモ欠失ES細胞を用いて得られた研究成果を、癌細胞研究にいち早く応用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
Nucleosteminホモ欠失ES細胞の致死的なフェノタイプをレスキューできる方法であるとか、Maxホモ欠失ES細胞が呈する致死的なフェノタイプを規定している分子基盤について、想像していたよりもスムーズに成果を得ることができたため、研究試薬への研究費の投入額を減らすことができた。
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次年度使用額の使用計画 |
本研究課題の最も重要な部分は、ES細胞を用いて得られた知見を癌研究に応用することであるので、繰り越させていただく研究費をその目的達成の為に投入したいと考えている。
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